1969年、全国的な学園紛争の渦の中で、立命館は騒然とした雰囲気に包まれていた。前年12月に発生した「新聞社事件」に端を発して、1月には中川会館が一部学生の手によって封鎖。閉じこもった学生と封鎖を解除しようとする学生が衝突し、多数の負傷者が出た。2月、立命館大学は期末試験の実施を中止し、一部(昼間部)の全科目の筆記試験をレポート試験に変更する。
立命館の学生運動から50年。当時を振り返る企画展示「―学生と運動の風景―」が2月9日より、立命館大学国際平和ミュージアムで始まった。本企画はさまざまな時代の若者のあり方を見つめる「京都青春時代」のパート3であり、「学生運動から50年という節目に、社会問題を真剣に考え、何かを変えようとした当時の学生の姿を知ってほしい」と同館学芸員の兼清順子さんは企画の意図を説明する。
薄暗い展示室に入ると、まず目につくのは朝日ジャーナルなどの週刊誌である。「雑誌やテレビのベトナム戦争報道が反戦運動の高まりに寄与しました」と兼清さんが話すように、週刊誌は当時のオピニオンリーダーであり、多くの学生が親しんでいた。さらに進むと、ストライキを呼びかけるビラの実物や中川会館の封鎖解除を求めた「一万人集会」の写真が展示されている。ビラは「闘」の文字が「斗」になっていたり、独特の直線的なフォント(ゲバ字)を使用していたりと学生運動の様相が感じられる。出入り口近くでは、本学生が1968年に広小路キャンパス内で撮影した8ミリカメラの映像が放映されていて、当時のキャンパス内の雰囲気を窺い知ることができる。
兼清さんは「社会の変革を暴力的手段に頼ってしまったことは肯定できないが、一方で普通の学生も社会の問題を真剣に考える土壌があった」と語る。翻って「社会問題にあまり関心を持たない現代の学生にこそ、企画展に足を運んでほしい」と話す。 (鶴)
本企画展は3月24日まで。見学資料費は本学学生無料 企画の詳細は同館HPから