下宿生の私立大学への初年度費用が平均で約295万円に上り、家庭の年収の約4割を占めるとみられることが、京滋地区私立大学教職員組合連合(京滋私大教連)の調査で分かった。3人に1人が学費などの教育費を借り入れで調達する状況となっており、教育費の負担が重い実態が明らかになった。
京滋私大教連は、京都・滋賀にある17の私立大教職員組合で構成。学費負担の軽減や奨学金制度の改善、私立大への助成増額などを求めて活動している。
教育費の負担状況などを毎年調査しており、昨年は5〜10月の期間、京都先端科学大▽京都橘大▽同志社大▽立命館大▽龍谷大――の5大学に通学する学生の保護者543人から回答を得た。
調査によると、23年度に入学した下宿生は平均3.7回受験し、受験費用は約29万円に上った。初年度費用は、受験費用を含み約294万5千円であった。下宿生の家庭の平均年収約807万円の36.5%にあたる。入学の年にかかる費用は、20年度から毎年増加しており、22年度からは約8万円増加した。物価高が影響しているとみられる。
初年度費用の内訳は、受験費用のほか、初年度納付金に約148万円、住居費に約44万円、4月〜12月の仕送り額に約74万円(1か月あたり約8万2千円)。初年度納付金は、初年度費用の約半分を占めており、京滋私大教連は「保護者の方々にとって、非常に重いものとなっている実情が浮き彫りになった」としている。
また、学費など教育費の準備を自己資金のみで行う人は69.2%に留まり、30.7%が借り入れで調達する状況となっている。
新入生で奨学金を申請する予定だと回答したのは、全体の47.3%(前年度比5.6%増)。奨学金を申請しない旨の回答は6割近くに上り、京滋私大教連は「卒業後に多額の奨学金を返済しなければいけない状況を考え、借り入れを控える傾向が続いている」と分析する。
京滋私大教連は、学生のアルバイト状況についても調査。アルバイトを行っている学生は全体で55.2%に留まり、平均月収は下宿生で約3万9千円であることが分かった。
アルバイト収入の使途は、交際・レジャー費が最多で3割を占めた。一方、交通費や生活費、書籍代などは合わせて6割を超えており、学生は学費以外に学生生活で必要になる費用をアルバイトで賄っているとみられる。
調査には「とにかく大学にかかる費用が高すぎる」という保護者の声も寄せられたといい、京滋私大教連は「教育費の負担が重く、負担軽減を図ることが喫緊の課題だ」と訴えている。
こうした現状を踏まえ、京滋私大教連の公費助成推進会議は、学費負担の大幅軽減や奨学金制度の改善などを国会に求めようと署名活動を行っている。同会議は2000年以降、合計750万筆を超える書名を提出してきた。
今年は、学費負担軽減制度の創設や奨学金返済負担の軽減などを請願事項に掲げて、6月ごろから実施する予定。同会議は、「一人でも多くの学生が支援を受けられる制度の拡充を求めたい」とし、署名への協力を呼び掛けている。
(小林)