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「教育開発DXピッチ最終報告会D.I.G.」全学に先駆け教育DXに挑戦

また本紙は、意見交換会の折に、各チームへ単独取材する機会を得た。
以下、各チームへのインタビューを掲載する。

チーム1『Ritsumeikan Writing Support Group』

インタビューに応じた本学教学部の大田桂一郎さん(左)
Q. プロジェクトを、一言で表すと?

A. 自分が書いたレポートの評価について、フィードバックがもらえるプロジェクトです。学生が書いたレポートは、一度の提出で終わりがちだと私たちは感じています。教員がそうしたいわけではなく、担当する学生全員に丁寧なフィードバックをする余裕がないのです。こうしたフィードバックの機会の敷居を下げたかったのが(このプロジェクトの)きっかけです。
このシステムは、アクセスするだけで簡単にレポートの評価を、学生自身が何回も受けることができます。将来的には、本学のライティング・サポート室のホームページに(立命館大学の学生認証を経て)アクセスすることで、全学生が使えるようにしたいと考えています。

Q.(本学の教育開発ピッチで受賞してから)これまでの2年間の総括をお願いします。

A. いろいろありましたが、やはり一番影響が大きかったのはチャットGPT(生成AI)の登場ですね。私たちが開発していた「文と文との整合性」「語尾」などの評価ができる機械学習(の取り組み)がある程度出来るようになってしまったおかげで、プロジェクトの方向性を変えざるを得ませんでした。一方で、これを取り入れることで、むしろアウトプット(レポート評価についての出力)の精度が良くなったのは思わぬ成果です。
また、このシステムは学生に(レポートの)データをアップロードしてもらい、それらのデータを蓄積しデータベース化することで、アウトプットの精度が上がる仕組みになっています。プロジェクトを進める中では、アップロードされたデータの個人情報を暗号化(保護)し、個人情報をデータベース化しないよう取り組んできました。

Q. 学生に向けたメッセージ

A. 公開された暁には、どしどし使ってください!レポートをより良いものに、という向上心をサポートできたらと思っています。生成AIへの否定的な意見もありますが、立命館は「適切な利活用の方法を積極的に模索」していくというスタンス(立場)にあるので、ぜひ有効に使ってもらえればと思います。

チーム2『プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)』

質疑応答に応じる生命科学部の山中司教授(左)
Q. プロジェクトを、一言で表すと?

A. (最先端のテクノロジーを使った)結果がどうなるかわからないけれど、実験的にありとあらゆるDX環境を整えたら「どんな英語教育ができるか」を試行しています。学生の反応を目の前で見てきて、手応えを確実に感じる一方で、統計的な優位性を証明するにはもう少し時間がかかりそうだと感じています。欲を言えば、卒業後にどう影響したかまで調べていきたいですね。
このプロジェクトでは、社会で役立つことをやっているという自負があります。教育というものを考えた時に、本当に狙わなければならない効果はそこ。私は海外に行くような(英語で話す場面を考えた)時、ある時点から「英語を話す」のではなく「(英語で)コミュケーションをとる」ように変わる瞬間がありました。学生に、そうした感覚を体感してもらいたいとの想いでこのプロジェクトに取り組んできました。

Q.(本学の教育開発ピッチで受賞してから)これまでの2年間の総括をお願いします。

A. 2年前の教育開発DXピッチで受賞したおかげで(予算がついて)、プロジェクトをよりアップデートすることができました。そこに生成AIが追い風となって、メタバースやAIなどを活用した日本でも他に例を見ない取り組みを推進してきたのがこれまでの歩みです。これで教育開発DXピッチの予算は終了となるわけですが、今後も、内外から資金を獲得したり、既存のサービスを組み合わせたりしていきたいと考えます。無いものをいかに工夫できるか、ここが私たち(教員)の本分だと考えています。

Q. 学生に向けたメッセージ

A. 私たちは、未来の英語教育を見せたいと思っています。未来で活躍しているのは我々ではなく、学生の諸君です。私たちはその後押しをしたいと常々考えていて、ぜひ社会に出てから「(自身が受けてきた)英語教育はどうだったか」を振り返ってもらいたいと思います。振り返った時、あなた自身にとって本当に良かったと思えるものを、これからも考え提供していきます。

チーム3『「学生の自分探しを応援する探究型AIコンシェルジュ」構想グループ』

参加者と意見を交わす情報理工学部の仲田晋 教授(中央)
Q. プロジェクトを、一言で表すと?

A. このプロジェクトでは、学生一人ひとりの興味・関心を授業と結びつけるシステムを開発しています。AIコンシェルジュとの対話を通じて、学生の潜在的な興味・関心、あるいは得手・経験といった要素を顕在化し、個別最適化された学びを実現できるようにしたいと考えています。チャットで質問に答えていくと、学生の興味・関心に近い授業と「適度に遠い」授業を提案され、学生自身では思いつかなかったセレンディピティ(偶然の産物)を発生させる仕組みになっています。
立命館では、教員のデータベースなどがきちんと整備されています。ゼミのホームページもですが、ここ(既存のデータ)を繋げることで、ゼミ選択などにも活用できるようにしたいと考えています。

Q.(本学の教育開発ピッチで受賞してから)これまでの2年間の総括をお願いします。

A. 結果的には、なんとか形にすることが出来ました。生成AIの登場など、紆余曲折ありましたが、結局“いいとこ取り”のような形で取り込むことにしました。その結果、大規模言語モデルによって、学生の興味・関心から学びの道筋や方向性を示すことが実証できました。一方で、テストする過程でAIからの提案内容を信じきってしまう学生が見られた課題も導き出されました。
今後は、AIの仕組みの理解と、出力を吟味できるAIリテラシー・アカデミックリテラシー教育を実施しつつ、将来的には一人ひとりがアクセスし、どこからでも使える環境にしたいと考えています。

Q. 学生に向けたメッセージ

A. 学ぶ主体はあくまで学生です。どんな興味・関心であっても、必ずアカデミックと繋がると考えています。そんな学ぶ意志のある学生が「主体的に学べる環境や仕組み」を作ることが我々教育機関の使命ではないでしょうか。その仕組みの一つとして開発した「探究型AIコンシェルジュ」は、学生の興味・関心を顕在化させ、大学の授業とつなぐことで、新たな気づきと探究心を芽生えさせることができます。そして、その「新たな気づきと探究心」が
学生一人一人にとっての新たな可能性や未来へと開花することを願っています。

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