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5月8日から 感染症対策自主判断に

5月8日より感染症法上※1における新型コロナウイルス感染症の位置づけが、従来の2類相当から5類に移行する。5類には他に季節性インフルエンザが位置づけられており、政府はそれらと同様に8日以降の感染症対策を自主判断にゆだねる方針だ。こうした社会の動向を踏まえて本学でも、新型コロナウイルス感染症に対する立命館大学の行動指針(BCP)の運用を休止、またキャンパス屋内外でのマスクの着用についても学生の判断にゆだねられている。キャンパス入構時の検温器の撤去、座席の利用制限シールの取り外しなどこれまでの環境から一新されるなかで、学内で新型コロナウイルスを取り巻く枠組みはどう変わり、今後学生には何が求められるのか、保健センターの伊東宏所長に聞く。

:これまでからの主な変更点

罹患後の出席停止は継続、外出は自主判断に

5月8日以降、新型コロナウイルス感染症に罹患した学生は学校保健安全法※2が定める施行規則による措置が適用される。これにより学内感染を防ぐ観点から「5日間の出席停止」を求められることになる。そのため罹患した際は保健センターへ学校感染症罹患届申請を提出、その後保健センターから「出席停止期間確認書」の交付を受け、同書を授業担当教員に提出することで出席停止期間中の授業配慮申請※3を受けることができる。さらにこれまで対応が取られていた「対面授業を受けるにあたっての配慮」と「濃厚接触者への授業配慮」については、8日以降その配慮を停止するという。罹患後の学外での活動については、これまで感染症法上で求められていた自宅療養・外出自粛は不要となるものの政府は5日間の療養を目安として勧めている。

保健センターに聞く 今後の対応

自主判断となった社会で私たちはどのような対策を取ればよいのか。伊東所長は8日以降、基本的な対策は継続しつつも、大学による強制力を持った感染症対策を要請する必要性はないという。この理由に伊東所長は「学生が感染した際に重症化するリスクが高齢者と比べ非常に少ない事実から、規制することによる学生へのベネフィットは大きくない。そのバランスを考えると大学内で学生に要請する必要はもうない」としている。さらにこれまでの学生生活を振り返り「これまであらゆる活動に制限を受けていた学生生活を取り戻してほしい」とその思いを語る。しかしこれまでの感染症対策をすべて休止するというわけではない。この点について、伊東所長は引き続き継続を検討すべきいくつかのケースを挙げる。

気になる飲食の場「パーテーション 残してもいいのでは」

大学の施設内でも同様に、学生の行動を制限することで重症化を予防する効果はあまり見込めない。そのため施設内の活動についても、大学側から強制力をもった呼びかけは行う予定がないという。しかしその中でも、伊東所長はキャンパス内で継続した意識が必要な空間に食堂を挙げる。その理由に、食事を摂りながらの会話が感染リスクを一段と引き上げる危険性があることを指摘する。「今までの感染事例からも、飲食の場面で感染した事例は多い」とする一方で、飲食時にマスクを着用することの非現実さも併せて指摘。その上で伊東所長は「マスクが着用できないハイリスクな場所では、直接飛沫を防ぐだけの効果であってもパーテーションは流行が完全に収まっていない間はあった方がいいのではないか」と、自主判断となる環境下で実現可能な対応策も提案している。

世代内より世代間に注意を

自主判断となるなかでも、引き続き注意が求められる点に世代間での交流もある。特に若者が多数を占めるキャンパス内であっても、年齢が上がるにつれ感染・重症化のリスクが高まるため高齢の方との交流の際には注意が必要であるという。教職員の場合は対面での質疑応答や教職員を含む複数人のカンファレンスルームでの接触には引き続き注意を促している。こうした場合には「自身の健康を守るという観点よりも、他人へうつさないという配慮からマスク着用が求められる」と伊東所長は指摘する。

健康リテラシー 今後の基準に

今後の感染症対策を、学生は何をもとに判断すればよいのか。伊東所長はその判断材料の一つに健康リテラシーの考えを提示している。厚生労働省が8日以降もマスクの着用を推奨する空間の一つにラッシュ時の公共交通機関がある。伊東所長はこの理由に、いろいろな世代・健康状態の人が利用していること、また感染・重症化リスクの高い世代への配慮が引き続き必要であることを挙げて推測する。5類への移行後の感染症対策について、伊東所長は「自主判断となるなかでは、一人一人が場面を意識しどういったときにマスクを着用したら、みんなのため、自分たちのためになるのかを考えていく」ことが重要だと述べ、それを健康リテラシーという言葉で表現する。

保健センターからのコメント

最後に伊東所長は学生に向けてメッセージを送る。「マスクの着用を求めることは基本的にない。これまで制限されていた学生生活を楽しんでもらいたいと思う。そのうえで今後の対応には自身の感染を防ぐこと、他人にうつさないことの二つの観点で判断するとわかりやすい。学生のように一般的に重症化するリスクの低い方、あるいはもう既に感染した方はマスクを自分自身の健康のためにつける必要はないが、政府が推奨する満員電車やご高齢の方がいる施設、病院などでは社会的な弱者の健康を守るための道徳的な判断としてマスクの着用を考えてみてはどうだろうか」。
(奥野、下田)

※1 正式名称は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」。感染力等といった複数の項目から、危険性毎に1類から5類に分類されている。

※2 教育機関における学生及び職員の健康の保持増進を目的とし、保健管理に関して必要な事項を定めている。

※3 ①授業で配布した資料の配布、②授業範囲の確認および授業ポイントの説明、自習内容の指示、③その他授業期間中のレポートや小テスト等が実施された場合の代替措置など、④授業に関する指導・援助等がある。

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