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映像学部生監督・脚本作品、フェローズフィルムフェスティバルにて上映

3月24日、短編映画祭「フェローズフィルムフェスティバル」にて白澤寿朗さん(映像2)監督・脚本の映画作品「終末宅配便」が上映された。同作品のほか、学生部門の一次審査を通過した全8作品が渋谷ユーロライブ(東京都渋谷区)に集い、授賞式も同時に開催された。フェローズフィルムフェスティバルは、株式会社フェローズが主催を務める学生のための短編映画祭で、国内の学生が制作した4分間の作品のコンペティションである。2019年に立ち上がった同映画祭は、現在第一線で活躍するクリエイターを多数輩出している。

「終末宅配便」のあらすじ
2030年、感染症と地震によって壊滅的な打撃を受けた世界。生活インフラの維持もままならなくなった地方都市は次々と放棄され、ロックダウン状態になった。その中心部がロックダウンコアである。危険地域への宅配をすることで有名な主人公遠崎に、上司から個人的な配達の依頼が舞い込む。

制作の裏側

「終末宅配便」は新型コロナウイルスの感染拡大が進む日本で、変わらず運輸業に携わる人々から着想を得た作品だ。コロナ禍で注文が殺到し、長距離を移動しなければならず、届け先から心ないことを言われることがあっても物流を支え続ける人々が白澤さんの目にはヒーローのように映った。

元々仮面ライダーなど特撮作品が好きだったという白澤さん。主人公がバイクに乗って走るシーンでは、軽トラックの荷台に機材を抱えた撮影担当者を縄で括り付けるなど、安全面に配慮しつつ特殊な撮影方法にも果敢に挑戦したという。車輛の運転を担当した宮島悠帆さん(映像2)は「普通の運転と後ろの荷台にカメラマンを乗せる運転は別物で大変だった」と当時の苦労を振り返る。しかし、先輩への聞き込みや運転の練習を重ね挑んだ撮影は楽しかったそう。同シーンは私道での撮影となったため、道路確保の時間を長めに取るなど、たくさんのこだわりが詰まっている。

制作現場の様子

制作・脚本協力・VFX(現実には見ることのできない画面効果を実現するための技術のこと、合成処理)を担当した小幡宙生さん(映像2)は「白澤や本学映像学部の谷慶子准教授と一緒に脚本を進めるなかで、彼が持つ意思が我々にも伝わってきて、実現させたいと強く思った。それがVFXにこだわるきっかけにもなった」と話す。VFXにおいては、ものを隠すということだけではなく、リアルさを追求した消し方が模索された。撮影現場はアットホームながらも、スタッフそれぞれが自分の仕事を把握した上で監督のこだわりを実現させるべく奮闘したそうだ。

同作品の撮影では、コロナ禍の活動に際してアルコール消毒や密の回避などさまざまな対策がとられた。昨今新型コロナウイルスをテーマにした作品が多くなるなど、さまざまな面からコロナウイルスの影響を受けた今回の作品制作。終えてみて、あえてコロナを見据えてテーマにするという難しさと強さを知ることができたという。宮島さんは今回の映像制作について「コロナ禍にあっても制作を止めず、感染者を出さずにやりきる方法を試行錯誤して、意地でも活動を止めないという気概が好きだった」と語る。

授賞式について

映画祭で鑑賞した他作品について小幡さんは「大学という狭いコミュニティに閉じこもっていては接することのできないような手法と触れ合えたことで視野が広がり、勉強になった。そのなかで『終末宅配便』の良さを再確認しつつ、自分のこれからの選択肢も増えた」と感想を述べた。また、白澤さんも「今回は受賞と言っても一次審査通過という悔しい形だったので、次は大手を振って受賞したぞと言えるようなものになればと思う」と意気込んだ。

渋谷ユーロライブでの授賞式の様子

メッセージ

小幡さんは「他者からの評価を気にしたり、評価される作品に追従したりするのではなく、自分なりの表現を追い求めることが大切。これからも切磋琢磨して頑張りたい」と、白澤さんは「暗く先が見えない状況でも諦めず、自分の内面を押さえつけずのびのびとやってほしい。作品を見た人が少しでも元気になってくれたら」と、また宮島さんは「文化芸術は、生活必需品ではないという理由で真っ先に制限された。そのなかでも自分が表現したいことを表現する手法はあるはずなので活動を止めないでほしい」と映像制作に対する熱い思いを口にした。(佐野)

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