立命館大学では今年度の開講当初、新型コロナウイルス感染症に対する本学の対策指針(BCP)のレベルを2とし、授業を基本的に対面で実施するとしていた。しかし関西圏での急速な感染拡大を受け、4月14日付けでBCPレベルを3に引き上げることを発表。これにより授業はZoomや動画配信といったオンライン形態に切り替えられた。
現在は、6月20日をもって大阪府や京都府を含む9都道府県に発出されていた緊急事態宣言が解除されたことを受け、BCPレベルを2に引き下げ、対面授業への移行が進められている。こうした短期間での変更に本学学生はどのような思いを抱いているのか、地方出身者の1回生とびわこ・くさつキャンパス(BKC)に通う学生の2人に取材した。
(冨吉)取材日6月14、15日
Tさん 映像学部 映像学科 1回生
Tさんは愛知県出身で、現在は下宿先で一人暮らしをしている。元々、映画やアニメなど映像作品が好きで創作活動に興味があり、本学部を希望したという。
入学当初の授業形態は対面が主だったため、毎日キャンパスに登校し映画にかかわる座学を受講していた。しかしBCPレベルの引き上げにより一部の実習系の科目以外は軒並みWeb授業へ移行してしまった。Tさんは入学前は対面での授業を期待していたため、ショックを受けたという。また、Web授業に備えるためパソコンを予定より早急に購入せざるを得なかった。しかし、授業形態の移行から数週間経つと徐々にWeb授業に慣れ始め、今では問題なく受講できているという。「対面による授業は休み時間になると、教室移動のため把握しきれていないキャンパス内を迷いながら何度も歩く必要があったのに対し、オンラインではその心配がなかった」としてWeb授業に好印象を持っていると述べた。
対人関係に関しては、対面授業が減ったことで日常的に話す相手がいなくなったが、元々、多くの友達を必要としていなかっため、あまり苦痛ではなかったという。しかし、地元への移動はかなり配慮が必要だと話す。「母親が医療従事者であり、高齢の祖母も実家の近くに在住しているので、家族にコロナウイルスをうつさないか心配で帰りづらい」とその思いを語った。そのため下宿開始後は一度しか帰郷できておらず、理由がない限り夏休み中も帰るつもりはないという。また、コロナウイルスの影響で所属しているサークルが活動を停止しており、目処の立たない状況に不安を感じると語った。
Mさん 理工学部 ロボティクス学科 2回生
Mさんは理工学部に在籍しており、兵庫県の実家からBKCに通っている。授業内容は主に数学やプログラミングにまつわる座学であり、今後は実際にロボットをプログラムすることを目指しているという。
昨年はWeb授業を受講していたことを踏まえ、対面授業との差を聞いたところ「オンラインだとどうしても集中ができない。対面であれば分からないところは友達と相談し合い、理解を補うことができたがWeb授業ではその点が難しい」と語った。Mさん自らの発言や質問など、より能動的な取り組みがしやすい対面授業を希望している。そのため、4月に授業形態が対面からオンラインへ移行した際は「またか」というやるせない感情を持ったという。授業内容に関してはオンラインへの移行はスムーズだったものの、ライブ配信では開始が遅れるなどごたつきがあり、編集された動画配信の授業の方が受けやすいと話した。
また課外自主活動への参加について尋ねると「現在は週に2日程度しか登校しておらず、遠方からの通学でもあるため、サークルのためだけに往復することが難しい。対面の授業が毎日あれば放課後に参加することも考えられたが、現状はどこのサークルにも所属していない状態」と話した。同級生との交流も授業内のグループワークがほとんどで、後輩との交流は全くないという。ただ、去年も同じような学生生活を送ったこともあり、不安はあまりなく、オンライン体制にかなり慣れていると語った。