立命館大学新聞のコラム欄「海神(わだつみ)」記者が日々の思いを綴ります。
大学生になって初めての夏休みが始まった。夏休みが2週間しかなかった中学・高校時代と比べるとこんなに長い夏休みは生まれて初めてである。
と、のんきに書いているが、既に盆を過ぎ、8月も終わりにさしかかっていることに驚きを隠せない。
蝉の声にうんざりしながら暑い暑いと言っているうちに夏休みが終わりはしないかと心配である。
先日、母の実家がある大阪府へ帰省をした。このご時世なので長く滞在はせず、墓参りをして静かに過ごした。神奈川県に住む従兄弟とはビデオ通話で近況を報告しあい、束の間のオンライン上での再会を喜んだ。これがいわゆる「オンライン帰省」というものか。
実際に会わずとも顔を見て話せる、便利な世の中になったものだと感心すると同時に、会いたい人と自由に会うことができていた頃を懐かしく思う。
人と対面で会うことに対して、今までにないほど気を配らなければならなくなった。Zoomで、声がかぶらないように気をつけながら同じサークルの1回生や先輩と話すことにも慣れた。それが今では当たり前になりつつあることに一抹の寂しさを覚えるのは私だけだろうか。
オンラインが主流になってきている今を「新たな日常」として受け入れたいと思う自分と、マスクをせずとも周りの視線を気にせずにすんでいた「以前の日常」を恋しく思う自分とがせめぎあう。
暑さと不安が入り混じる今年の夏は、どうやらまだしばらく続きそうである。 (坂口)