日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞決定から1年となるのを前に、シンポジウム「ノーベル平和賞から核廃絶へ」が、本学衣笠キャンパスで9月29日に開かれた。被団協代表理事の金本弘さんが基調講演で「ノーベル平和賞を受賞した被爆者が、どのような活動をして核廃絶につながっていくのか、一緒に考えたい」と話した。
基調講演後に参加者の質問に応じる、被団協代表理事の金本さん=9月29日、京都市北区金本さんは生後9カ月のとき広島で被爆した。「ピカッ、ドーンという一瞬で焼かれた」と、被爆者が描いた絵などを見せながら、原爆の怖さを語る。
被爆した金本さんを助けたのは、近くにいた男性だったと聞かされてきた。昨年6月、姉の手記を読んで初めて、その男性が父だと知ったという。
「やはり私はこういう仕事をしなきゃいかんのだと、自分の運命を覚悟した」
金本さんは、今の被爆者は「せめて生きている間に、核兵器廃絶の道筋でいいから知って死にたい」という願いを抱いていると話す。
被爆体験を語れる人が数を減らす中、金本さんは「私の話を聞いてくれた人には、次の証言者になってほしい」と願った。
◆被爆者、若者が支え
シンポジウムでは、基調講演に続きパネルセッションが開かれ、本学国際平和ミュージアムの君島東彦館長ら5人が登壇した。
君島館長は「敵対関係・緊張関係があると、相手国に対する不信感や恐怖が武装という形をとる」として、東アジアで安定した関係を築く必要性を提起した。
登壇した国際平和ミュージアムの君島館長=9月29日、京都市北区核廃絶を目指す一般社団法人「かたわら」の高橋悠太代表理事は「私自身は被爆者にはなれないが、被爆者の言葉を受け止めて国内外に伝えることはできる。被爆者の記憶を世界の記憶にしていくことがミッションだ」と話した。
若者の核廃絶運動団体「KNOW NUKES TOKYO」共同代表の倉本芽美さん(国関4)は「被爆者だけに任せない。私たちも一緒になって、皆さん一人一人の力をかき集めることができれば」と意気込んだ。
パネルセッションで登壇者に応答する金本さん=9月29日、京都市北区金本さんは「被爆者は多くの若者に支えられていると聞いていた。話を聞いていると本当に感謝しかない」と話していた。
(小林)
.png)




