昨年7月、改正道路交通法が施行され、一定の基準を満たす電動キックボードなどが「特定小型原動機付自転車」(特定原付)として運転免許がなくても運転できるようになった。電動キックボードが身近な乗り物になることで、一部の利用者による悪質な違法走行も発生している。
これまで原動機付自転車(原付)や自動車と同じ扱いであった電動キックボード。改正道交法では、16歳以上であれば運転免許がなくても運転ができるようになり利用者の幅が広がった。
電動アシスト自転車や電動キックボードのシェアリングサービスを運営するLuup(ループ、東京都千代田区)によると、京都市内の貸し出し拠点は約900か所(9月時点)。施行後は利用に必要なアプリの月間ダウンロード数も2〜3倍に増えたという。
利用拡大に伴い、交通ルールの理解促進が急務となっている。電動キックボードを含む特定原付は自転車でも原付でもない新しい交通手段。新しい交通ルールの社会全体への周知が課題だ。
電動キックボードは原則、車道の左側端の通行が求められる。電動キックボードは最高時速6キロ以下で緑色のライトを点滅させれば歩道を通行できるが、自転車通行が禁止されている歩道では走行が禁止されている。ループでは「手押しゾーン」と呼んでいる、阪急京都河原町駅(京都市下京区)周辺の一部道路をはじめとするエリアでは、電動キックボードを押して歩道を歩く必要がある。
ループでは電動キックボードを利用する際、交通ルールテストに連続満点合格することを必要としている。さらに交通違反に対して違反点数を加算し、一定の点数に達するとアカウントが30日間凍結され、電動キックボードを利用できなくなる交通違反点数制度もある。
ループの担当者は「違法走行の多くが、信号無視などといった基本的な交通ルール違反であることが分かっている」とした上で「大変残念に思うと共に、重く受け止めている」と話す。
また、京都市内の移動に関する課題として、バスなどの既存の公共交通機関が圧迫されてしまっている点や、南北の移動に比較して東西の移動が不便である点などを挙げる。電動アシスト自転車や電動キックボードについて、「正しい交通ルールを理解した上で、安全第一で日々の短距離移動に活用してほしい」と呼び掛けた。
(吉江)