産業社会学部客員教授で共同通信社編集委員の石井暁(ぎょう)さんは1日、本学衣笠キャンパスで開かれた講演会で、台湾有事が「存立危機事態」になり得るとの見解を示した高市早苗首相の国会答弁について「いざとなれば戦争するという彼女の本音が出た。(台湾有事は)いよいよだ」との考えを示した。「戦争に進む瀬戸際に来ている。どうすればいいのか皆さんと一緒に考えたい」と話している。
自身の記事を示しながら日本の安全保障について語る石井さん=1日、京都市北区・衣笠キャンパス講演会は産業社会学部メディア社会専攻が主催した。テーマは「権力監視vs報道統制 ジャーナリズムの将来は」。反戦・平和を目指して防衛省・自衛隊を約30年取材してきたという石井さんが本学で講演するのは3度目で、今年が最後だった。
石井さんは「大本営発表を垂れ流して国民の戦意を高揚させた結果は、悲惨な敗戦だった」として、民主主義を維持して平和を守るには、ジャーナリズムの権力監視が必要不可欠だと主張する。
特定秘密保護法の成立、スパイ防止法案の議論については、第2次世界大戦終結に至る日本の流れを踏まえれば「戦争の準備のための報道統制が目的だと分かる」と話し「権力の暴走が始まっている。権力の報道統制が強まり、戦争につながるのではないか」と危機感を示した。
一方「悲愴感はあるが、つらいと思っていても仕方がない」として、講演会に参加した大学生に「何とかしてやろうと考えてほしい」と伝えた。
学生や一般市民、本学教員、報道関係者など約80人が集まった講演会の会場=1日、京都市北区・衣笠キャンパス講演を受けて、メディア社会専攻の根津朝彦教授は「石井さんのような権力をチェックする人がいるから、自由にモノが言える民主主義が守られている」と話した。
講演会後、本紙の取材に応じた石井さんは「ジャーナリズムは中立ではなく公正であるべき。権力監視のためにある以上、当然批判になる」と説明し「非科学的な主張がまかり通る中で、これからは真実を追究する学問が大切になる」と話している。
(小林)
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