■再任制限議論も
改正私学法の付帯決議は「ガバナンス不全を防止するため、理事長職について、任期や再任回数に上限を設けるための措置など理事長職の在り方について検討する」よう政府などに配慮を求めた。
法定化されていない再任制限について、検討委では当初、再任回数の制限がないことが一概にガバナンス不全につながるとは言えないとし、現行通り再任制限を設けないこととしておくことが妥当としていた。
これに対し、理事長の再任制限を検討するよう求める声が一部の学内機関から上がった。また、教職員の有志は「有志の会」を結成し、450人を超える教職員の賛同を得て、再任回数に上限を設けるよう要望書を提出した。
検討委はこうした意見についても「受け止めた上で検討を行った」という。
最終的な答申で検討委は、「適切な学校法人ガバナンスが機能するようさまざまな観点でチェック機能を強化することが重要」「理事長職にある者が広範な人脈やネットワークを構築するためには、一定の年数がかかることなどを考慮」とした。
理事長の再任回数の制限など法定化されていない事項について多様な意見が出される中で、「認可申請の期日との関係からも、今次検討の中で結論を出すのは困難との判断に至った」とし、「将来的にさらに検討を深める課題として位置付ける」としている。
有志の会は、本紙の取材に対し「(再任制限がなければ)適切な交代が阻害され、権限の集中による不祥事や不正を生む可能性が生まれる」と指摘。「(有志の会の活動や一連の議論が)学園における寄付行為の重要性、とりわけ理事長の再任制限について、より多くの教職員が問題意識を持つ機会になったと考えている」と回答した。
◆私学法などでは「寄付行為」は「寄附行為」と表記されています。記事内では、本紙で定めている漢字表や用字用語の基準にのっとり、「付」と表記しています。