本学は9月29日、アドビ株式会社(以下、Adobe社)と人材育成分野における連携協定を結んだと発表した。本協定は「Society 5.0 時代における新たな価値創出を担う人材」の育成を目指し、その実現に必要な連携・協力について合意したもの。 同日、記者発表会にて本学の仲谷善雄総長とAdobe社のクレア・ダーレイ社長が協定書に署名した。
背景
本学は「挑戦をもっと自由に」と銘打った学園ビジョンR2030において「新たな価値を創造する次世代研究⼤学」と「イノベーション・創発性⼈材を⽣み出す⼤学」を柱に据えている。なかでも、2024年に映像学部・研究科と情報理工学部・研究科が大阪いばらきキャンパス(以下、OIC)へ移転するのに合わせた「OIC新展開」では「TRY FIELD」を標題に、デジタル&クリエイティブの融合を通じた教育と研究の発展に取り組む「あらたな学びの創造」などに力を入れるという。
取り組みの内容
こうした背景を受け、本協定における取り組みの内容として ①人材プログラム開発 ②人材育成を支える基盤の確立 ③英語でのプログラム実施の3つが紹介された。2024年度から始まる本学独自の人材育成プログラム「QULTIVA(カルティバ)」では、創発性人材の育成を目的とした社会課題解決プログラムとして、デジタルを活用しながら新しい価値を作り出す新プログラムや講座がAdobe社と共同で開発されるという。
日本初、Adobe Creative Campus目指す
また本学はこの協定を通じて、日本初の「Adobe Creative Campus(アドビ・クリエイティブ・キャンパス)」認定校を目指すとしている。Adobe社がグローバルで推進する「Adobe Creative Campus」は、Adobe製品を全学的に活用して学生の「クリエイティブデジタルリテラシー」の育成にとくに力を入れる大学で、現在はデューク大学 (米国ノースカロライナ州)や延世大学(韓国ソウル特別市)など約70校が認定されている。認定されることで、世界の大学との情報交換や連携、各校の取り組みへのAdobe特別チームによる支援などが得られる。
Adobe社が定義する「クリエイティブデジタルリテラシー」とは、人間ならではの創造性を発揮して、新しい価値を作り出す力のこと。
記者発表の様子
記者発表会では、両者の代表のコメントののち、本協定における取り組みが各担当者より紹介された。記者発表会中に記者から「本協定を通じて学生に期待を寄せることは」と質問されると、仲谷総長は「大学は学生がチャレンジと失敗ができる場で、そのための環境を整えている。これを生かして、どんどん挑戦してもらいたい」と答えた。また「クリエイティブ・デジタルリテラシーが大事と発表にもあったが、学生はどのような心持ちが必要か」との質問に対し、Adobe社のクレア社長は「(問題を解決していくということを考えた時に)何事も試すということが重要になってくるだろう」と応じた。
模擬授業
記者発表会後にはAdobe社の講師による模擬授業が行われ、本学学生や附属校の生徒らが参加した。模擬授業は仲谷総長やクレア社長なども視察し、参加者からは「使いやすかった」「思い通りの絵を作るのが難しかった」などの声があがった。
(小野)
両者コメント
この度、アドビ株式会社様との協定締結を発表できますことを大変光栄に思います。この協定を生かし、子どもたちから学生まで、立命館全体の、デジタル・クリエイティブ活動や発想力、発信・表現力を育み、新しい価値を生み出すイノベーション・創発性人材を育成するプログラムの共同開発など、多様な取り組みを展開いたします。複雑化する社会課題の解決や新たな価値の創造にとって、AIをはじめ急速に進化するIT技術や最先端のデジタルスキルを習得し活用することは極めて重要です。今回の協定締結を機とした連携が、児童・生徒・学生にとって未来を切り開くステップとなることを大いに期待しております。
この度、学校法人立命館様とともに、新価値を創造する人材育成のプログラムをスタートできることを大変喜ばしく思います。アドビはこれまで多くの教育現場で、デジタルクリエイティブツールによって子どもたちの能力が開花する様子を目の当たりにしてまいりました。今、デジタルツールはAIによりさらに進化して、人間の想像力をはばたかせ、創造性を高めるためのベストフレンドになりつつあります。 今後、立命館様が構想する次世代の人材育成のため、アドビがグローバルで持つ知見を活かして貢献してまいります。