新型コロナウイルス対策の渡航制限が徐々になくなり、本学の留学プログラムも従来の形に戻りつつある。留学プログラムの現状と、円安・物価高がもたらした影響について本学国際課の花村大輔さんに話を聞いた。
2019年12月ごろから新型コロナが世界的に流行したことで、海外留学の募集や実施は次々と中止や延期を余儀なくされ、そもそも海外に行くことができない状況が続いた。その後、新型コロナによる行動制限が解除され、渡航者の入国規制も解かれていった。23年5月には新型コロナの感染症法上の位置付けが5類へ移行。落ち込んだ留学者数の回復が期待された。ところが、今度は円安と物価高が留学を抑制することになった。
留学費用の主な構成要素は、授業料、滞在費、航空費の3つ。花村さんは、どの要素も近年の物価高に伴い費用が高騰していると話す。それだけではなく、多くの学生が留学を希望する英語圏の大学では、毎年少しずつ授業料が上がっているという。それらに加えて円安が進んだため、日本の学生が留学費用の工面に苦しむ状況が続いている。
滞在形態の変化も留学費用に変化を与えている。新型コロナの流行をきっかけに、ホームステイの受け入れをやめた家庭が非常に多いという。新型コロナの感染拡大が落ち着いた今、改めてホームステイを受け入れる家庭は少なく、ホームステイ先の数はコロナ禍以前までには戻っていないのが現状だ。花村さんは、「供給より需要の方が高まった結果、ホームステイ費用は上がっている」と語る。
花村さんは「コロナ禍前と比較して、費用が上がっていない要素はない」と話す。さらに、今後について「留学にかかる費用が下がる要素は見当たらず、現状の高止まり続くだろう」と推測する。
「本学は原則、正課留学プログラム参加者全員へ奨学金を支給しており、他大学で類を見ない規模の財政支援をしているが、それをもってしてもかなり厳しい状況である」と花村さんは現状を嘆く。費用高騰の対策としては、留学プログラムの構成の変更などを行っているという。滞在期間の短縮や、フィールドトリップといったアクティビティーを厳選して参加者が個別に訪れたい場所を選択できる形式が導入されている。
学生に向けて「1週間のフィールドワークを行うグローバル・フィールド・プロジェクトなど、費用を抑えたプログラムも用意しているので、ぜひ一歩踏み出してみてほしい」とメッセージを送った。
(吉江)