中国の宋・元時代の仏画を中心に紹介する特別展「宋元仏画─蒼海(うみ)を越えたほとけたち」が京都国立博物館(京都市東山区)の平成知新館で20日から開催される。日本で100件以上の宋元仏画が展示されるのは珍しく、過去最大規模の展覧会になる。
宋元仏画を核として質、量共に充実させた今回の特別展は、中国と日本文化の関わりついて学べる貴重な機会とされる。
日本の平安中期から南北朝時代にあたる宋・元時代、仏教の先進国であった中国の仏画は、僧や商人の活躍で海を越え、日本で重宝されてきた。京都には大寺院があったことから宋元仏画が集積されており、出品作の多くも京都の寺院に伝えられたものだ。
中国には宋・元時代の仏画があまり残っておらず、現存するもののうち大半は日本に残されていると言われている。中国には、国家の変動や信仰の変化、仏画を古いままにせず新しくすることを功徳とする考え方がある。これに対し日本では、仏画を手本として宗派に関係なく仏の姿が描かれているものは大切にする考え方があった。
会期前半の目玉は、仁和寺(京都市右京区)の「孔雀明王像」。後半は、牧谿(もっけい)の「観音猿鶴図」をメインとして、牧谿から影響を受けたとされる長谷川等伯や俵屋宗達の水墨画なども展示される。
国宝 観音猿鶴図 牧谿筆 中国・南宋時代 13世紀 京都・大徳寺蔵海外で製作された作品にもかかわらず、約半数の出品作が国指定文化財だ。宋元仏画は写実性、表現力で高い水準を持ち、俵屋宗達らの研鑽(けんさん)の手本となるなど日本文化と深いつながりを持つ。
国宝 孔雀明王像 中国・北宋時代 11~12世紀 京都・仁和寺蔵孔雀明王像について、研究員の森橋なつみさんは「写実的に孔雀を描き、尊像を一緒に表すことで、現実世界に仏が立ち現れるような視覚表現を達成している」と説明した。
森橋さんは、「日本文化・美術を学ぶ上で中国との関わりは不可欠な部分」と話す。さらに、学生に対し「日本文化の本質に関わる作品なので文化の核となる一群だと意識して展示を見てもらいたい」と語った。
会期は2025年11月16日まで。開館時間は午前9時〜午後5時30分(金曜は午後8時まで)。入館は各閉館30分前まで。休館日は月曜(祝日の場合開催し、翌日火曜休館)。観覧料は大学生の場合1200円(立命館大学、立命館アジア太平洋大学は京都国立博物館キャンパスメンバーズの会員校のため学生証提示で各種当日料金より500円引き)。特別展とあわせて、記念講演会と国際シンポジウムも開かれる。詳細は展覧会公式サイトを参照。
展覧会公式サイトhttps://sougenbutsuga.com/
(松山、矢野)
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