これまでの生活様式や習慣が大きく揺らいだ2020年。全国の大学で学園祭の中止が余儀なくされた。各キャンパスで開催が予定されていた本学の学園祭も新型コロナウイルスの感染拡大を鑑みた結果、中止が発表された。
そのような情勢のなか、学生の文化発信をあきらめなかったのが早稲田大である。
来場者数が毎年20万人を超え「日本一の学園祭」との呼び声も高い早稲田大の学園祭「早稲田祭」。史上初の「完全オンライン」という形態をとり、昨年11月7日と8日の2日間にわたって開催された。
今回は運営スタッフ代表を務めた福島陽さんを取材し、早稲田祭2020を振り返ってもらった。
ーオンラインでの学園祭開催を実現できた感想を教えてください。
2日間を無事に終えられたことへの安心感が大きいです。
今年度の早稲田祭自体は終わりましたが、運営スタッフとしての任期は今年の3月までなので、今でも来年度に向けた話し合いを他のスタッフたちと続けているところです。
ーオンラインでの実施にあたって、うまくいったことと苦労したことをそれぞれ教えてください。
とにかく開催できたことがよかったと思います。オンラインでの配信という形態でも早稲田祭らしい活気のある雰囲気を出すことができました。
難しかったのは、自分たちの思いを相手に「伝える」ということです。例年のオフライン開催の場合、実際にお客さんが来てくださるので生の反応を見ることができますが、今回のようにカメラの向こうの方々へ発信をするのは初めての試みでした。ツイッターやインスタグラムといったSNSでの広報や、実際の配信を通して「伝える」ということに難しさを感じました。
また、当日はウェブサイト上で回線のトラブルが発生し、想定していたように配信を進められなかったことが悔しかったです。
ー2日間を通して印象に残っていることはありますか。
最後の自分の出番前に舞台袖から見たステージの光景が印象的でした。2日間ともトラブルの対応に追われていて、私は実際に企画を配信している様子を見て回ることがほとんどできていませんでした。最後の1時間で急いで見て回り、全プログラムの最後に私がステージに上がる前に、待機していた舞台袖から見えたステージがとてもきらきらしていたのが心に残っています。
また、私たち運営スタッフは視聴者の皆さまのためにこれまで準備をしてきましたが、皆さまが配信を見てくださることで初めて、今回のオンライン早稲田祭が成り立つと気付くことができました。逆に視聴者の皆さまに支えていただけていたことにありがたさを感じました。
ー演者・出演者からの感想はありましたか。
「早稲田祭を開催してくれてありがとう」という言葉を多くいただきました。「あのステージでパフォーマンスができたこと自体がうれしかった」という団体もいらっしゃいました。参加してくれた早大生が2日間をめいっぱい楽しんでくださっていて、私もうれしかったです。
ーオンラインで行う学園祭はこれからも広まっていくと思いますか。
オンラインはやはり難しいと思います。情勢によってオンラインが主流になるのかそうでないのかは変わってしまうのではないでしょうか。
ただ、今回初めてオンラインで実施をしてみて、オフラインだけではなくオンラインという選択肢が増えたのはよかったです。来年度の早稲田祭をどのような形態で実施するかは分かりませんが「オンラインでも学園祭ができる」という新たな可能性を見出すことができたのが大きいと思います。
ー来年度の早稲田祭はどんなものにしてほしいですか。
新しいチャレンジを恐れずにやってほしいです。オフラインでの開催であればこれまでよりもいいものを求めて頑張ってほしいです。もしオンラインならば、オフラインと同じく円滑に実施ができるような最適な答えをまたゼロから模索して作り上げてもらいたいです。
ー最後に、視聴してくれた方々へのメッセージをお願いします。
今年度の早稲田祭はYouTubeでの生配信という形態で開催しました。総再生回数は35万回、最多同時視聴人数は約7000人ということで、非常に多くの方に早稲田祭を見ていただくことができました。視聴してくださった皆さまに本当に感謝しています。オンラインではありましたが、この早稲田祭を通して私たち早大生の熱意が皆さまに伝わっていればうれしいです。ありがとうございました。
福島さんは早稲田祭2020について、後記をnoteにまとめている。(坂口)