文化・芸術

堂本印象美術館 生誕130年記念展 日本画以外の作品に焦点

12月3日から京都府立堂本印象美術館(京都市北区)にて、特別企画展「生誕130年 描く・飾る・デザインする―堂本印象の流儀―」が開催されている。会期は2022年3月21日まで。

堂本印象は京都を拠点として活動した日本画家。1910年に京都市立美術工芸学校を卒業。その後は西陣織の図案描きに従事し、1918年に京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)に入学して以後、日本画家として活動した。初期は神話や風景を描いた伝統的な日本画で高く評価され、戦後には海外の技法や画材を徐々に取り入れ抽象画的に現代風俗を描くなど多様な画業を成した。生涯を通して取り組んだ宗教画にもその変遷が見て取れる。抽象へと発展していった画業が最晩年に具象と融合していく様子は絶筆である「善導大師」にも表れている。

本展覧会は前後編に分かれた生誕130年特別企画展の後編。立体や空間造形といった、日本画家という枠組みにとらわれない多様な創作活動に焦点を当てる。主任学芸員の山田由希代さんは「立体作品から印象の造形感覚や美意識が垣間見られるのではないか」と語った。

堂本印象 茶碗 高風想思 1970年 京都府立堂本印象美術館蔵

展示される作品は木彫り人形や茶釜、着物、ポスターなど多岐にわたる。壁画や鳥居のデザインなど、実際に館内で展示できない作品もパネルで紹介されている。中でも見どころは同館で26年ぶりの出品となる岐阜・瑞甲山乙津寺(ずいこうざんおっしんじ)の襖絵だという。印象の襖絵に共通する特徴として、取っ手の部分にまで印象による意匠が凝らされている。また、晩年にデザインされた袈裟「欣舞鳳凰」は抽象柄で飛び交う鳳凰がデザインされたもの。実際に着用した様子もパネルで展示されている。

堂本印象 超ゆる空 1968年 岐阜・瑞甲山乙津寺蔵

1966年に開館した同館のデザインは、外観から内装まで全てを堂本印象自身が手掛けている。デザインに際して描かれた下絵なども本展覧会では展示されている。また、過去の展覧会において印象が自ら制作したポスターなども見ることができる。山田さんは「美術館には印象の思いが反映されている。展示と見比べて楽しんでほしい」とした。

同館と本学は、学生団体の作品の紹介、展示や学生によるチラシのデザイン、PR活動の考案など交流も多い。広報担当の森さんは「美術館を身近に感じ、授業の合間や帰り道など気軽に立ち寄って欲しい」学生に向けてコメントした。

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