本学は、びわこ・くさつキャンパス(BKC)に今年、新施設「グラスルーツ・イノベーションセンター」(GIC)「立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ」(CVIC)を開設する。
GICでは、企業・自治体、研究者や学生・大学院生、ベンチャーキャピタル(起業投資会社) や金融機関など、立場や所属がさまざまな人や情報、資金を集積・循環させる。オープンイノベーション(異分野連携)を加速させる仕組みを構築し、小学校から大学院までのアントレプレナーシップ(起業家精神)教育を組み合わせた人材育成の展開を目指す。
1階には、コワーキングスペース(仕事や作業に共同で使える場所)やイベントスペース、大規模なファブラボが設置され、多様な人が集うオープンイノベーション拠点としての活用を想定する。2階には、新たな産業の創出へつながるようなプロジェクトが入居するラボ、共同利用できる実験・試作機器、登記ができるワーキングスペースが用意される。
学生は1階を中心にプロジェクトなどに取り組み、自身で起業をするような場合には2階を活用する、といった段階的な活用を想定している。
またCVICでは、スポーツ健康科学を核とした学際融合による新学術領域「身体圏研究」を切り開く。人類が直面する現実世界と仮想世界が高度に融合した「多重環境化社会」への急激な変化の中で、いかに身体的・精神的・社会的健康を向上させ、ウェルビーイング(心身が健康で幸福な状態)を実現し得るかを探究する。
企業や研究機関とのオープンイノベーションによる研究力の強化や、スタートアップ(新興企業)などによる社会実装の推進、イノベーション人材の育成を、GICとも連携して推進していくことで、「地球規模の課題解決や社会変革につながるイノベーションを創出する機能」を有する研究大学となることを目指す。
CVICの最大の特徴はテニスコート2面分、約420平方メートルのX-Verse(クロスバース、XV)アリーナ。高さ約6.5メートルの壁面と床面にリアルな映像を投影し、没入感のある空間を再現し、個人・集団の身体活動や感情と環境のインタラクション(相互作用)や変化に関する生理データなどを取得できる。また、人工気象室やMRI(磁気共鳴画像装置)室、睡眠計測室など、最先端の設備を擁する。
担当者は、「GICは、立場や組織や世代などを越えた多様な人たちが集い、課題に対して知恵を持ち寄り、解決方法の試行錯誤を重ね、社会に価値あるものへと磨いていき、常に新たな世代がその輪に入り、担い手として育っていく。そのような場所となれば、と考えている。目的に向かって、挑戦したり失敗したりを繰り返しながら夢中になって取り組みたい人、ぜひこの場所を活用していただけるとうれしい」と話した。
また「CVICについて他機関や企業との連携、GICとの連携を進め、コラボレーティブ・インテリジェンス(協調知)の創出を推進していくので、学生・院生の皆さんもぜひこの『身体圏研究』に参画していただけるとうれしい」と語った。

(今井、吉江)