立命館大学教職員組合主催のシンポジウム「立命館憲章改正を考える」が7日、オンライン会議システム「Zoom」で開かれ、約40人が参加した。パネリスト4人は、憲章の在り方や改正案の問題点について意見を表明した。シンポでは改正案の全学討議再開を強く要求するアピールも採択された。
法学部の植松健一教授(憲法学)、学生の山川凌さん(法3)、大学院生の神村覚さん(社会科学研究科M2)、民主主義を考える会の稲葉和夫代表=本学名誉教授=がパネリストとして参加した。

山川さんは、自治の枠組みが機能不全に陥っていると指摘。神村さんは、「多様性」の基盤として「公正」や「非暴力」が必要だと強調した。稲葉代表は、現行憲章に注釈をつければ解決すると提起した。
植松教授は「討議の期間を通じて結果的に良い方向に行くのであれば、学園民主主義の新たな形成として評価できる。これからも声を上げ続けていければ」と意気込んだ。
(小林)
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パネリストの発言の要旨は次の通り。
■植松健一教授
理念の対外的発信や、構成員のアイデンティティ形成のための共有理念とすべき(憲章の)文章は、まさしく憲法の前文に該当する。
今の社会情勢やR2030を意識した表現が多く、あまりにも短期的だ。憲法と同じもので、短期的に変えるものではない。
「戦争の痛苦の体験」や「非暴力」の部分は、憲章の核心的な部分だ。対外的なメッセージも含めて、非常に大きな問題を持っている。学園憲章に「非暴力」があってこそ、対外的なメッセージがちゃんと出せるのだ
憲章の「戦争の痛苦の体験を踏まえ」に相当する英語版の部分「reflecting upon its wartime experience」については、どの国においても共通のものだろう。私は分かりにくいとは思わない。
本来的に言えば分かりやすさが全てではない。多義的で抽象性を含むが故に、それぞれの学園構成員が受け止めて、それぞれの持ち場での実践を具体化していくものだ。
■山川凌さん
(立命館憲章「改正」を考える有志の会では)当初から学外向けの署名活動を展開するなど、社会的な問題として提示してきた。憲章の改正に、社会情勢の影響が全くないとは考えられないためだ。
憲章「改悪」を学内の問題として捉えず、社会情勢と一体のものとして捉えることが重要だ。
現在、学内の自治の枠組みが十分に機能していない状態にある。憲章の改正を考え直すと同時に、学内の民主主義を徹底しなければ、根本的な問題は解決しない。
■神村覚さん
「多様性の尊重」が今回の憲章改正案の目玉の一つになっている。多様性の重要性を否定するわけではないが、多様性を尊重するのであれば、今回削られている制度的基盤が不可欠だ。
理念的な民主、公正、非暴力、公開の原則なしに実現し得ない。多様性という言葉を掲げるのであれば、単なるスローガンとしてではなく、公正や非暴力といった明確な原則に捧げられるべきだ。
■稲葉和夫代表
担当した講義「日本の近現代と立命館」で、2016年から21年にかけて学生と共に考え、現在の立命館憲章が記している歴史の重みと立命館のアイデンティティを感じ取った。
「第2次世界大戦後、戦争の苦痛の体験を踏まえて」を削除した理由は、いわゆる「日本人」以外の学生の方には意図が掴みにくい、という意見もあったことという。ならば、別途注釈をつけてちゃんと説明をすべきではないか。
学園全体で憲章を深める努力をすることがまず重要だ。もう一度立命館の歴史に立ち返って再考していただくことを切に求める。
■採択されたアピールの全文はこちら


これはやばい。なぜここまで偏りのある報道姿勢なのか?この議論の出演者は全員反対のポジションを取っている。ありえない。強く反省していただきたい。
大学経営陣が公正・民主的な議論に応じようとしないなか、組合主催でこうした取り組みが行われることは大変重要。学部生・院生・教職員の垣根を超えて今こそ全学的に議論すべき。大学上層部の決定を上意下達的に伝えるだけの報道でなく、草の根の活動をしっかり報じる新聞社の姿勢に敬意を表したい。
これは議論ではなく、馴れ合い。同じ考え方の人たちがなだめ合うイベントをシンポジウムなどと高尚な名前をつけていいのだろうか?大いに疑問がある。