7月6日、アゼルバイジャンのバクーで開かれた世界遺産委員会で、大阪府下の「百舌鳥・古市古墳群」の世界文化遺産への登録が決まった。これを受け、これまでとこれからの取り組みと観光対策を取材した。(藤井)
世界遺産登録への取り組みは2005年にはじまり、国内で1つの文化遺産推薦候補に4度目で選定され、ようやく結実した。当初、百舌鳥古墳群のみ対象だったのが、同時期成立の古市古墳群を含め、古墳時代中期の代表事例としての価値が認められた。世界遺産登録の目的は、古墳群の保護と継承だ。背景には戦後の宅地開発影響下での、古墳群の大規模な取り壊しがあった。1955年の市民による「いたすけ古墳」の保存運動で収束したが、築造当時100基以上あった古墳は、44基まで減少した。
堺市内の宿泊施設における外国人利用者数は、4万人(2014年)から24万人(2019年)と大幅に増加している。
こうした状況を鑑み、南海本線堺駅と高野線堺東駅から仁徳天皇陵拝所前までのシャトルバスを、7月6日から運行させた。また、観光案内所での手荷物預かりや、観光タクシーの補助制度も導入されている。古墳の魅力の発信には、堺市博物館やVR技術を使った映像体験がある。エリア内の周遊には、古墳周遊アプリ、レンタサイクルを利用できる。今後はWi‐Fi整備や上空ヘリの運航など、民間事業者とも連携し更なる取り組みを拡充していく。こうしたアクセス強化と受入環境整備により、観光客の分散、堺市旧市街への観光客の誘致が期待される。