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祇園祭に学生ボランティア参加 菊水鉾にて

京都市中京区菊水鉾町で7月11日から18日にかけて、本学の学生が祇園祭を迎えた菊水鉾(きくすいほこ)でのボランティア活動に参加した。本学のサービスラーニングセンター(以下、SLC)がボランティアを募集し、のべ約150人が参加。授与所の一員として粽(ちまき)などの授与や授与品の運搬などを行ったほか、事前準備や片付けに参加した。

多くの人で賑わう宵々々山(14日)の菊水鉾

祇園祭は毎年7月に行われる八坂神社(京都市東山区)の祭礼。ユネスコ無形文化遺産に登録されている山鉾行事は、前祭(さきまつり)と後祭(あとまつり)の2回に分けられている。菊水鉾は前祭に巡行する鉾であり、7月10日に鉾建て、17日には山鉾巡行が行われる。SLC企画の「祇園祭菊水鉾ボランティア2023」はこの間、授与所の一員として菊水鉾に協力するプログラムである。

SLCが菊水鉾でのボランティアを募集したのは、昨年に続き2回目。コロナ禍であった昨年、SLCは地域現場での活動機会の減少や学部・回生を超えた学びの機会の減少という課題を抱えていた。その折に菊水鉾保存会からSLCに連携の打診があり、本学学生を対象にボランティアが募集されることとなったという。SLCの國定直樹さんはこの活動について「祇園祭への大学生の参加は伝統文化や芸術振興に寄与するとともに、参加した学生の学び、成長につながる」と自らの考えを話した。

今回ボランティアを募集したSLCの國定さん

ボランティア活動に先立ち、6月28日には衣笠キャンパスの学而館(がくじかん)にて参加者に対して事前ガイダンスが行われた。参加した学生は菊水鉾保存会に賛助会員として関わる太田興さんの話を聞き、授与所での仕事や菊水鉾の歴史などを学んだ。太田さんは「祇園祭に向けて町内の人々は1年間準備をしてきた」と地域の人々の思いについて触れつつ、学生に対して「日本全国、世界各国から来られる観光客や拝観者に『祇園祭に来てよかった』『菊水鉾は素晴らしかった』と思っていただけるようご奉仕、お手伝いをお願いしたい」と話した。

今回参加する学生は7月11日から18日のうち6日間、ボランティア活動に取り組む。参加学生は3つの役割に分かれ、巫女にはのべ92人、運搬及び見守りにのべ52人、準備及び片付けに6人が参加。全日程での総参加人数はのべ約150人に上った。参加人数は昨年と比べて倍ほどであるといい、SLCの國定さんは「参加者は衣笠キャンパス所属の学生だけでなく、びわこ・くさつキャンパス、大阪いばらきキャンパス所属の学生もいる。1回生から4回生の学部生に加え院生の参加者もおり、参加した学生はとても幅広い」と話した。

授与所で巫女として活動する学生ボランティア

7月11日に菊水鉾町で行われた授与所や茶席の開設準備には学生ボランティアが参加。7月13日から16日にかけて授与所が開かれ、ボランティアは授与品の運搬や行列整理を行ったほか、授与所では巫女として粽や扇子、手拭い、御茶席券など授与品の授与を行った。菊水鉾で授与される粽は食用のものではなく、笹の葉で作られた厄除けのお守り。商売繁盛、不老長寿がご利益の菊水鉾では、コンチキチンとお囃子が甲高く響くなか「商売繁盛、不老長寿、菊水の厄除け粽はいかがでしょうか」と声をかけながら巫女姿のボランティアは粽などの授与品を授与していた。

菊水鉾で授与される粽

昨年のボランティア活動に参加し、今年も巫女として活動する田中里奈さん(経営2)は「京都出身で祇園祭には客として来ていたので、伝統行事の裏側を見られるボランティアに興味を持ち参加した。地域の方の話が面白く、授与所に立たないと学べないことがあった」と話し「観光客や拝観者の方に祇園祭の魅力を届けたい」と意気込んだ。

賛助会員の太田さんは「担い手の高齢化が進むなか、学生ボランティアの手伝いは助かる」とし「地域の当たり前が学生にとっては貴重な機会なのだと認識するよい機会になった」と話した。また、学生の地域参加について「学生ボランティアは単なる人手ではない。事前ガイダンスなどで歴史や地域の思いを参加学生に丁寧に伝えていくことにより、歴史ある祇園祭の一翼を担ったのだと学生に感じてもらいたい」と思いを語った。

取材に応じた賛助会員の太田さん

7月17日には前祭として菊水鉾を含む山鉾巡行が行われ、同日中に各山鉾町で山鉾の解体が始まる。翌18日には、授与所や茶席の片付けに学生ボランティアが参加する予定だ。

このようなボランティア活動についてSLCの國定さんは「華やかに映る祇園祭も様々な課題を抱えている。観光客として『外側』から見るのではなく、一歩『内側』に踏み込んでみることで見える景色や学びがある」と自らの思いを語った。また「大学での学びはキャンパス内だけにとどまらず、キャンパス外にもたくさんある。それぞれの地域や社会の現場での活動を通じて学びを深めてほしい」と学生のボランティア活動について期待を寄せた。(小林)

菊水鉾は夜9時を過ぎても人で賑わった

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