豊臣秀吉によって京都御所の隣に築かれた京都新城の遺跡が、京都御苑内にある京都仙洞御所(京都市上京区)での発掘調査で発見されたと、京都市埋蔵文化財研究所が5月12日に発表した。
京都新城は豊臣秀吉の晩年となる1597年に築城された。しかし同城は築城から3年後の1600年に破却。その遺構は現在まで発見されてこなかった。このために、後に造営された京都仙洞御所にかつて存在したことは文献で知られるものの、遺構は確認されることはなかった。
また、同城について記述された史料の数も少ないことから「幻の城」とされてきた。京都仙洞御所の消火設備の整備に伴い、発掘調査が実施され、京都新城の石垣と堀の一部の遺構が発見された。
発見された石垣は8mの長さがあり、高さは1.6m~1.8mだった。石垣は城の破却時に上半分が破壊されたとみられ、発見されたものは残りの下半分であるとみられている。また、堀は長さ8m、幅3m以上、深さ約2.4mのものが発見された。堀の中からは豊臣家の家紋である桐の家紋と、天皇家の家紋である菊の家紋がしるされた金箔瓦が出土した。
京都新城の遺構の発見によって、京都仙洞御所内に整備予定であった消火設備は建設場所を変更し、石垣と堀を保存することが決定された。(堀内)