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海神DIGITAL「大人になるということ」

立館館大学新聞のコラム欄「海神(わだつみ)」。記者が日々の思いを語ります。

「大人になるということは、曖昧さを受け入れる能力をもつということ」。オーストリアの精神科医、ジークムント・フロイトが残した言葉である。何気なく目にしたこの言葉が、私を掴んで放さない。「大人になる」とは、「曖昧さ」とは何だろうか。

大人になる、ということ。もっと先のことだと思っていたのに、いざその瞬間が訪れると意外とあっけない。知らないうちに別の世界に放り込まれたような感覚で、何だか落ち着かない。私が思っていた理想の「大人」は、ものすごく遠いところから私をじっと見つめている気がする。「子ども」が恋しくなるのは、子どもだった頃に手を伸ばしても掴めないと感じるからだろうか。

「大人になる」ということは「子どもの頃」が水底に沈んでいくのを焦ることではない。どんなにおぼろげでも、形が無くても、確かにあったその時間に思いを馳せることだ。「曖昧さ」を「受け入れる」とは、そういうことなのかもしれない。こんなことを悠長に考えているから、まだ私は「子ども」というものを手放しきれないのだろう。

「曖昧さ」を受け入れた先に、何があるのか。これから「大人」として生きる日々はきっと、私が思う以上に面白くて混沌としている。喧騒なのかも、静謐なのかも分からない世界を知っていく。

他人に優しく手を差し伸べられる。自分の価値観を確固たるものとし、向上心がある。そんな理想の「大人」に、私もいつかなれるだろうか。(坂口)

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