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鳥人間コンテスト RAPTはチーム記録更新ならず 後輩へ中ペラ機の可能性を託す

7月27日から28日にかけて琵琶湖東岸(滋賀県彦根市)で「鳥人間コンテスト2024」が開催され、本学飛行機研究会(RAPT)が人力プロペラ機部門に出場した。RAPTの出場は2年連続。記録は562.47mと、チーム最長記録である昨年の1683.24mには届かなかった。

プラットホームから飛び立ったIgnis

今コンテストでRAPTは7番機。昼前のフライト直前、機体の左右方向を制御するため尾翼につけられている方向舵(ラダー)が動かなくなるトラブルが発生。猛暑の中、プラットホーム上で諦めずに原因追究や処置にあたる部員らを会場が見守った。一時は棄権の可能性も出たものの、応急処置によりRAPTの機体「Ignis(イグニス)」はプラットホームから飛び立った。しかし、惜しくもチーム最長記録の更新はかなわなかった。

パイロットの大石智也さん(理工3)は涙ぐみながら部員らが待つ湖岸へ帰ってきた。「体力面でも余裕を持って飛ばせていた」とし、「出力的には十分すぎるくらいのものは出していた」とフライトを振り返った。パイロットとして2年連続出場したことについては、「他の大学にはないことに挑戦したので、そこに関してはすごく納得のいくものにはなった」と話す。

「今年の機体が多分技術的には一番良いものだったと思う」と話すのは全体設計者の酒井郁弥さん(理工3)。結果として残せなかったことは残念だとしつつ、「僕らの技術を突きつけたという自信はある。僕らと同じだけの技術を持った後輩が、作った機体で新しい記録を出してくれるはず」と期待を寄せた。

新型コロナウイルス禍では部員獲得に苦戦していたRAPT。昨年の鳥人間コンテスト出場、そして今年の出場決定もあり25人の新入生が入部した。代表の赤堀綜亮さん(理工3)はこの1年間のチーム運営を振り返って「専門的なところが多いので説明したりとか理解してもらったりするのは人数が多い分難しくなった」としつつも、「みんな活発に作業に参加してくれたり、積極的に動いたりしてくれた」と語った。

左から赤堀さん、大石さん、酒井さん

今コンテストで引退となる3人。大学卒業後の進路は就職、大学院進学とそれぞれである。しかし鳥人間コンテストに捧げた青春は、今後の人生の糧になると確信している。また、現在の3回生らの世代は高校時代、コロナにより十分な部活動や行事を体験することがなかったという。酒井さんは「みんなで何かするっていうのはRAPTが初めてだった」と話し、「本当に良い経験になった」と笑顔を見せた。

酒井さんは「中ペラ機の可能性を追求していってほしい」と後輩らに思いを託す。昨年、ダイダロス駆動から中ペラ機へ移行したRAPT。今回の記録は昨年の記録にこそ届かなかったものの歴代2位の記録であり、ダイダロス駆動時代の最長記録を超えている。「本番での機体トラブルで悔しい思いをせずに済むように、故障なく、本番で100%の力を発揮できる機械を作ってチーム記録の更新を目指してもらいたい」と語った。

先輩の諦めない姿に憧れを抱く新入部員がいる。小学校1年生のときにテレビ放送を見て以来、鳥人間ファンだという前田光輝さん(経済1)。「先輩たちの諦めない姿勢がすごいかっこよかった」と涙ながらに語ると、「後輩たちに多くは語らないけど、背中で語れるような人たちになりたい」と意気込んだ。

つながれてきた襷(たすき)は後輩へと渡され、襷を胸に、RAPTの熱い炎は宿り続ける。

(井本、小林、吉江、森島)

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