滋賀県南部や東部において路線バス事業を営む近江鉄道(滋賀県彦根市)は11日、路線バス「立命館大学京都線」を運行し、約40人が利用した。本学びわこ・くさつキャンパス(BKC)から京阪三条駅(京都市東山区)までを結ぶ本路線の運行は、年に1度の片道のみ。なぜ本路線は廃止されないのか、近江鉄道に聞いた。
立命館大学京都線は近江鉄道バスの路線で唯一、県境を越えて京都市内でも運行されるもの。午前7時45分にBKCを出発した後「山科駅口」や「蹴上」など11カ所の停留所を経由し、午前8時45分に終点の「京阪三条」に到着する。例年20人前後の利用があるが、今年の運行では始発駅「立命館大学」から約20人、途中の停留所からも約20人の利用があった。
年に1度の運行日は、永源寺・湖東三山をめぐる秋の定期観光バスの運行初日。秋の定期観光バスは京都駅から出発するため、運用するバスを滋賀県内の営業所から京都まで回送する必要がある。このため、立命館大学京都線は観光バスの回送を兼ねた「間合い運用」のような形をとっているという。今年はプロ野球球団・埼玉西武ライオンズのテーマカラーであるレジェンドブルーをまとった観光バスが運行された。
立命館大学京都線の歴史はBKCの開設以前、1963(昭和38)年まで遡る。1963年の名神高速道路開通当初、八日市駅(滋賀県東近江市)と京阪三条駅を結ぶ路線が誕生した。当時は毎日1便運行されていたが次第に本数を減らし、秋の定期観光バス運行期間に限って1日1便運行されるようになった。2014(平成26)年には始発停留所が変わり、BKCと京阪三条を結ぶ現在の形「立命館大学京都線」となるが、2019年には年1度の運行となり現在に至るという。
では、なぜ年に1度の運行が続けられ、廃止されないのか。近江鉄道自動車部は本紙の問い合わせに対し「立命館大学京都線は当社で唯一京都市内で路線バスとして運行する認可を受けている路線であり、一度廃止をしてしまうと、路線運行を再開するとなった場合に手続きに時間や手間を要するため」だと説明している。
近江鉄道では南草津立命線や草津立命線などBKCへアクセスできる路線を運行している。同社自動車部の担当者は本学学生に対し「いつも通学に当社バスをご利用いただきありがとうございます」と感謝の気持ちを表したうえで「今回のような運行の他にも、滋賀県内にはあらゆる路線がございますので、機会があればご乗車いただき当社事業をさらに知っていただけると幸いです」と語った。
(小林)