太平洋戦争開戦から83年を迎える12月8日を前に、本学の国際平和ミュージアム(京都市北区)で3日、「不戦のつどい わだつみ像前集会」が開かれた。学生や学園関係者のほか一般市民も参列し、平和を誓った。
不戦のつどいは、反戦と平和への誓いを胸に刻む集会。本学も学徒動員に加わった過去の戦争を反省し、二度と悲惨な戦争を起こしてはならないという誓いを新たにする機会としている。
わだつみ像を本学に迎えた翌年の1954年に第1回が開催され、今回で71回目。立命館の学友会、院生協議会連合会、教職員組合、生活協同組合などで組む「不戦のつどい実行委員会」が主催した。
開会後、53年12月に行われた「わだつみ像建立除幕式」で学生の代表が読み上げた「不戦の誓い」を、参列者の前で司会が読み上げた。参列者は起立し、全世界の戦争犠牲者に黙とうをささげた。
あいさつの中で、実行委員長の横尾陽太さん(法4)は、ロシアによるウクライナ侵略や、イスラエルとイスラム主義組織ハマスによるパレスチナ自治区ガザでの戦闘に触れ、「2024年は、不戦、平和の重要性と尊さをより一層認識した一年だった」と振り返る。
「平和を知ることは戦争を知ること。戦争を知らない世代が当事者意識を持って、戦争の歴史を再認識することが必要だ」とした上で「平和の持つ意味、重要性を見直すことで平和な未来を切り開ける」と訴えた。
また学校法人立命館を代表し、あいさつに立った仲谷善雄総長は「平和とは戦争がないことだけを意味するのではない。世界中の人々が自らの夢や希望を抱き、その未来を実現できる社会であることだ」と語る。
「教育、研究、国際・地域社会との共創を通じ、あるべき未来社会の実現に貢献することは、『平和と民主主義』を教学理念に掲げる立命館の使命だ」と、未来へ平和をつないでいく決意を語った。
あいさつの後、立命館の森島朋三理事長をはじめとする学園関係者や学生がわだつみ像前に献花した。
閉会にあたって、教職員組合の松田亮三・執行委員長は、世界情勢に触れた上で「不戦の誓いを守るために何ができるのか、とても重い問いが突き付けられている。皆さんと共に不戦、平和への誓いを確認し、難問に取り組んでいきたい」と話した。
閉会後、本紙の取材に応じた教職員組合の安達光治書記長は「戦争をなくす努力は必要だが、戦争がなければ平和という訳でもない。現実を直視し、日常生活に忙しい中で世界の困難について考えるきっかけとして、不戦のつどいを続けていく意義は大きい」と話した。
(小林)