学校法人立命館の理事会で9月27日、寄付行為=①=変更案が議決されたことが、本紙の取材で分かった。改正私立学校法(私学法)への対応を目的に、ガバナンス(組織統治)の強化策を盛り込む。私学法改正に伴う変更は、2020年4月以来。関係者によると、来年3月までに文部科学省の認可を得て、4月に施行される見込み。
(寄付行為取材班)
①寄付行為 私立学校法に基づき、学校法人の目的や設置校、理事会・評議員会などについて定めた、学校法人の根本となる基本的規則。会社の定款に相当する。
■私学法改正
寄付行為変更の契機となった改正私学法は2023年4月、参議院本会議で全会一致で可決、成立した。
法改正の発端は、私立大で相次いだ不祥事だ。東京医科大では、医学部入試で不正に加点し合格させる事件があり、元理事長と元学長が贈賄罪に問われた。また日本大では、元理事長らによる背任・脱税事件が発生していた。
今次の改正では、「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」の考え方から、理事会や評議員会=②=の権力分配を整理。理事長や理事会に対するけん制・チェック機能を高め、ガバナンスを強化する。
②評議員会 全ての評議員によって構成される、学校法人の諮問機関。学校法人の業務などについて、役員に対して意見を述べ、役員からの諮問に答える。
改正について文科省は「私立学校が、社会の信頼を得て、一層発展していくため、社会の要請に応え得る実効性のあるガバナンス改革を推進するための制度改革を行う」ことが趣旨だとしている。
改正では、理事選任機関の設置▽理事と評議員の兼職禁止▽評議員の下限定数を「理事の定数の2倍を超える数」から「理事の定数を超える数」まで引き下げること▽教職員評議員を評議員総数の3分の1を超えないよう制限すること――などの変更があった。
立命館の評議員定数は現在103人。理事全員が評議員を兼職しており、理事を除く評議員総数の約半数は教職員評議員だった。
また教学における役職者などを、理事選任機関の選任行為なしに自動的に理事にすることは不可能に。学部長に選任された者が自動的に理事になる規定も、見直しが求められた。
改正私学法の施行は25年4月。各学校法人は、法改正に対応した寄付行為変更案を策定し、25年3月末までに文科省の認可を受ける必要があった。