「赤本」が今年で創刊70周年を迎え、表紙のデザイン変更が行われた。また、正式名称を「大学入試シリーズ」から「大学赤本シリーズ」へと変更。赤本を出版する世界思想社教学社(京都市左京区)代表取締役社長の上原寿明さんと、編集部マネージャーの中本多恵さんに、赤本の歴史やデザイン変更について話を聞いた。
■赤本の歴史
世界思想社教学社は、創業者が京都大の前で貸本業を営んでいたのが始まりとされる。最初は法律の専門書を発行していたがなかなか売れず、高校生向けの参考書を売り出すようになったという。
赤本の創刊は1954年。「京大」「同志社大・立命館大」「市立大・神戸大」の3銘柄を発行。最初は大学ごとに表紙の色が異なったが、1965年ごろから統一されるようになった。近年は私立大の入試方式や日程の多様化により、毎年約550点の銘柄数を発行しているという。
■デザイン変更の経緯
昨年までの表紙デザインは20年近く使用されて認知度も高く、受験生の間で定着していた。しかし、強い配色に太いフォントから威圧的なイメージがあったという。入試の在り方が変わりつつある現在、受験勉強が辛く苦しいものという印象にならないようデザイン変更に踏み切った。
赤本としてのエッセンスはそのままに、やさしいデザインへと変更された。赤本のデザインについて中本さんは「書名に過去問という記載がないのに、見ただけで過去問集だと分かってもらえるのが赤本の不思議な特性。デザインを変えすぎて何の本か分からなくならないように、デザイナーさんに頑張っていただいた」と述べた。
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