小倉百人一首競技かるたの大会「第5回ちはやふる小倉山杯」(一般社団法人全日本かるた協会主催、公益財団法人小倉百人一首文化財団・一般社団法人ちはやふる基金共催)が18日、嵯峨嵐山文華館(京都市右京区)で開かれた。小倉百人一首誕生の地・嵐山に集まった、名人やクイーンらトップ選手8人が熱戦を繰り広げ、観客らは固唾をのんで勝負の行く末を見守った。
「ちはやふる」の名を冠する同大会は、競技かるたが題材の人気漫画「ちはやふる」の作者・末次由紀さんが発起人となり設立された、ちはやふる基金が共催。大会運営の支援や小倉百人一首のさらなる普及・振興などを目的として活動しており、同大会ではちはやふる基金から総額200万円の賞金が贈られる。
同大会は、競技かるたを見る楽しさを知ってもらうことを目的に開催。初めて見る人も分かりやすく楽しめるよう、現役選手による解説付きのパブリックビューイング会場が嵐山と東京都渋谷区に設けられたほか、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」での生配信も行われた。
大会には、名人・川瀬将義六段やクイーン・井上菜穂六段をはじめ、競技かるた界を牽引(けんいん)するA級選手8人が出場。静寂に包まれた会場で「ちはやぶる神代も聞かず竜田川」などと短歌が読み上げられると、選手らは畳の上に並んだ札を素早く払った。
1〜2回戦は、互いの陣に札が1枚ずつ残る「運命戦」も見られるほどの激戦に。決勝では、川瀬名人と準クイーン・山添百合八段が白熱した戦いを見せ、川瀬名人が男性選手として史上初となる優勝を果たした。
決勝後、取材に応じた川瀬名人は「優勝できて素直にうれしい」と思いを述べた。競技かるたの魅力について聞くと「札を払うところのスピード感」を挙げる川瀬名人。「見たことがない人はぜひ一度見てほしい」と話しつつ「見るよりもやった方がやみつきになる。試合を見たり『ちはやふる』を読んだりして興味を持った人にはぜひ体験してほしい」と語った。
(小林)