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「プロ入りはスタートラインに過ぎません」 楽天・辰己涼介 独占インタビュー

 

 ドラフト1位での東北楽天ゴールデンイーグルス入団が決定した辰己涼介さん(産社4)。東北での新生活を間近に控え、引っ越しの準備などに繁忙する中、京都市北区・柊野の野球部寮で本紙の取材に応じた。

                      (12月21日取材 聞き手 神野・鶴)

 

 

兵庫県出身の辰己選手が野球を始めたきっかけは、プロ野球観戦やスポーツ選手の出演するバラエティ番組を通して野球選手に憧れたからであった。小学校1年生の時に将来を見据え硬式野球チームの大淀ボーイズに入団。基本的なプレーは父親から教わりながら野球を始めた。

「小学生の時は中の下くらいの選手でした」

―小学生時代、中学生時代はどんな選手でしたか。

小学生の時はチーム内で中の下くらいの選手でした。というのも小柄だったため体の大きな選手には勝てなかったのです。ホームランも柵越えはありませんでした。中学時代も普通の選手だったと思います。主砲につなぐ役割が主でした。

 

―小・中学校時代はどのような学生生活を送っていましたか。

体を動かすことは好きで、学校からの帰宅後は公園で素振りや壁当てをしていました。自主練習というよりも遊び感覚で野球に接していました。

―高校進学の話に関してですが、兵庫県には野球強豪校が多い中で公立の社高校への進学を決断した理由は何ですか。

特に理由は無いですが、強いて言えば親の勧めだと思います。野球を続けたいという思いは持っていて、社高校には体育科があったので進学を決めました。

―高校入学時の身長・体重は。

165cm・57kgくらいだったと思います。高校2,3年生時に身長が10cm以上伸び、体重も66kgほどになりました。体格の変化によってパワーやスピードを含めすべてにおいて成長しました

―高校時代は甲子園出場が叶わなかったわけですが、当時甲子園に出場したいという気持ちは強かったですか。

チームとして甲子園に出場したいという気持ちはとても強かったと思いますが、個人的には甲子園出場よりもプロ野球に行きたいという気持ちの方が強かったです。ただ、甲子園出場が叶わなかったことから、プロのスカウトの目に留まることもなかったので結果の重要性は身にしみて感じました。

「キャプテンとしてプレーすると仲間のヒットが自分事のように嬉しかった」

―大学時代に急成長されたというわけですか。

ポテンシャル自体は変化していないので、金属バットで打てなかっただけだと思います。プロ野球を意識して中学時代から練習はずっと木製のバットで行っていたので、大学で打てたのは当然だと思います。

2018年10月、関西学生野球連盟秋季リーグ・立同戦にて

―いつ頃から辰己選手のプレーが突出したと感じますか。

大学時代ですかね。

 

―転機となったような出来事はありましたか。

1回春のリーグ戦から試合に出場させてもらって結果を残せたということは自分の中での転機かなと思います。チャンスをくださった監督さんには感謝しています。

 

―大学進学時に立命館大学を志望した動機は。

関西人からは「関関同立」は有名ですし、関東の大学も視野に入れていたのですけど一番初めにお声がかかったのが立命館大学だったのでここに決めました。

 

―大学入学時から卒業後の進路はプロ野球だと考えていらっしゃったのですか。

そうですね、プロ野球選手になることはずっと考えていました。

 

―なぜ大学に入学されてから野手に専念されたのですか。

ピッチャーはフルイニング出場が難しいのですが、野手だと毎回試合に出場できるからです。

 

―辰己選手は元々ピッチャーをされていたわけですが、現ポジションでピッチャーの時の経験が活きていますか。

正確には分かりませんが、クセのない送球フォームはピッチャー時代からの意識づけによって身に付いたものだと思います。

 

―4回生時にはキャプテンを務められました。キャプテンとしてプレーすることは1選手としてプレーすることと違いますか。

やはりキャプテンとしてプレーすると仲間のヒットが自分事のように嬉しかったですし、チームを勝たせてあげたいという気持ちが芽生えるなど、多くの学びも得ました。

 

―大学日本代表チームのキャプテンも務められました。立命館と日本代表では責任感など何か違いはありますか。

比較的どちらも気楽にキャプテンとしての仕事をやれましたね。日本代表チームでは「プレーで引っ張ってくれ」と言われていたのでキャプテンとしてのプレッシャーは無く、プレーに全力を尽くせました。反対に立命館のキャプテンとしては、何事も先頭に立って行動するなど部員のまとめ役として動いていました。100人を超える大所帯のチームをまとめるのは大変でした。

2つのチームでキャプテンとしてやれたことは大きかったと思います。

「早くプロのレベルでプレーしたい」

―プロの世界に入ると一番若手選手になるわけですが、それに対して何か感じられていることはありますか。

年齢は関係ないと思います。選手一人一人のベクトルはチームの勝利・リーグ優勝という1つの目標に向いていると思うので。ただ個々の能力が高い分、チームの方針にあった行動をする必要があるとは思います。

 

―野球が職業になる訳ですが、そのことに対しての思いに変化はありますか。

変化は無いです。自分の目標としていたところに行くだけの話なので特に何とも思っていません。

 

―いつから東北へ行かれるのですか?

1月5日に入寮して8日に新人合同合宿が始まります。

 

―今の感情は(緊張感が強いのか、それとも高揚感が強いのか)。

特別な感情は特に無いですが、早くプロのレベルで野球がしたいという感情と怪我などの身体面の不安はあります。

 

―身体面の不安には1年間戦い続ける体力の不安も含まれていますか。

そうですね、ペナントレース143試合に加えて入寮後・春・秋3つのキャンプがあるので本当に体が勝負になってきます。怪我をしないように気をつけてプレーしたいと思っています。

 

―今はどこに重点を置いてどのようなトレーニングをされているのですか。

技術面の練習ではティーバッティングに時間を費やしています。あとは下半身の柔軟性を身につけるために股関節周り、お尻周りの筋肉の強化にも取り組んでいます。スローイングでは肩を壊しにくい安定性のある送球方法を教わり、キャッチボールの時にその投げ方を取り入れています。

実はインドア派の一面

―現在は学校に登校されていますか。

学校に行くのは残すところテストのみになっています。大学生活においては松島ゼミ(スポーツ文化)に所属しています。卒業論文は「大学入学時からのキャリアデザイン」というテーマで書いています。

 

―大学生活を過ごした野球部寮には名残惜しさがありますか。

4年もいると実家より落ち着ける場所になっていたので寂しさはありますね。

 

―辰己選手はインドア派と伺ったのですが。

野球とトレーニング以外は自分の部屋で寝たり、ゲームをしたりすることが多いです。サッカーゲームの「FIFA」をよくプレーします。

 

―野球ゲームはされないのですか。

簡単にヒットを打てて、打者を打ち取れるゲームは好きではないので全くしないですね。

 

―これから、野球ゲームのキャラクターになるわけですが、どういった感情をお持ちですか。

ゲームで遊ぶ全ての人に使用されるようなキャラクターを目指したいです。

―野球ゲームになぞらえた選手能力表でご自身の能力を振り返ってもらいます。

 

走力と守備力に自信を持っています。その中でも肩の強さは他のプロ野球選手にも負けないと自負しています。バッティングについてはバットコントロールの良さと長打力に自信があります。また、俊足を活かして内野安打を狙うことも可能ですし、盗塁することで得点に絡むチャンスを作ることもできます。得点圏でもプレッシャーを感じることなく自分のバッティングを貫くことができる「勝負強さ」も自分の持ち味です。

 

「結婚は活躍する選手になってから」

―音楽鑑賞もお好きだとお聞きしたのですが。

はい、洋楽から邦楽まで幅広く聴きます。試合前にも音楽を聴いています。

 

―映画・ドラマ・アニメはよく鑑賞されますか。

映画・ドラマについてはたまに見ますね。「ドリーム☆アゲイン」というドラマは、最近見直して改めて面白いと感じました。アニメについても動画配信サービスの「おすすめ」に出てきたものを1話から最終話まで見ることがあります。そのときは半日費やしていますね。

 

―お笑いが好きと伺ったのですが、お笑い番組はよく見られますか。

お笑いは好きなのですが、自分はお笑いを見るというよりも他人を笑わせることの方が好きです。

 

―好きな女性のタイプは。

TBSの宇垣美里アナは美人だなと思います。同じ神戸市出身ということもあります。ただ、今は女性に興味は無いですし、結婚は活躍する選手になってからだと思っています。

「野球を辞めたかったことは一度もない」

―普段から野球を楽しむことを1つのテーマとしている辰己選手ですが、野球を嫌いになった経験はありますか。

野球を嫌いになったり、辞めたいと思ったりしたことは一度も無いですし、今も自分が納得するまで野球を辞めるつもりはないです。

 

―野球で結果が出ない時も野球が嫌だと感じなかったのですか。

むしろ結果が出ない時の方が楽しいですね。結果が出ない原因を考えることも楽しいですし、打者として3割成功と言われている中でどのような工夫をすれば3割4割打って成功できるのか考えるのも楽しいですね。

楽天入団決定後の会見で、自身を表す言葉に「野球バカ」を掲げた(2018年10月)

―常に考えて野球をプレーされているというわけですか。

練習においてもやみくもに練習するのではなく、自分の弱点を補強するような練習に取り組んでいます。無駄な練習を続けても成果には繋がらないと思うので、理論に沿って自分に合った練習方法で取り組むことは大事かなと思っています。

 

―辰己選手にとって今の課題は何ですか。

身体強化と自分のポテンシャルを活かしつつさらに伸ばしていくこと、柔軟性が課題だと思います。

 

―強気なコメントをされることが多いですが、ご自身ではどう思いますか。

ただ単に目標を口にしているだけかとは思います。将来的には達成できると思っていますし、実現可能なことを発言しているだけです。

 

―野球に対するモチベーションを支えていたのはやはりプロ野球選手になるという目標ですか。

プロ野球選手にはなりたいと思っていましたが、それが自分の最終目標ではありません。名球会入りやメジャーリーグといった自分でも想像できないほどの高みを目指していきたいので、プロ入りはまだスタートラインに過ぎません。

 

―では、今は目標を達成したというよりは過程の段階ということですか。

目標といえば目標ですけど、細かい目標をプラン立てて段階的に成し遂げていくという感じですね。自分には夢というものはないですが、目標はいくつもあるので。

 

―細かい目標の積み重ねていくということですね。次の一番近い目標はどういったものですか。

まずは開幕レギュラーとして出場することですね。

 

―先の大きな目標として掲げられていることは何ですか。

日本球界で2,000安打達成、名球会入りすることですかね。あとはメジャーリーグ挑戦ですね。

 

―辰己選手にとって野球とは。

「野球バカ」と自分で公言しているように自分から野球の存在が無くなれば何も無いと言えるほど野球は好きなモノですし、自分の構成要素となっているモノです。

―2018年を漢字一文字で振り返るとしたら、何を選びますか。

良い漢字を思いつきました。「楽」です。「野球を楽しめたこと」と「楽天入団が決まったこと」からこの漢字を選びました。

 

 

 

 

 

辰己涼介(たつみ・りょうすけ)

1996年兵庫県神戸市生まれ。身長180cm・体重74kg。右投げ左打ち。小学1年生で硬式野球チームの大淀ボーイズ(藤原台小)に入団。基本的なプレーは父親から教わりながら野球を始めた。神戸三田ドジャース(有野中)を経て、社高校でプレー。2015年に立命館大学産業社会学部に入学。立命館大学硬式野球部では1回生の春季リーグから出場。4回生の春季リーグでリーグ戦通算100安打を達成し最優秀選手賞を獲得、秋季リーグでは歴代2位のリーグ通算122安打を達成し首位打者に。大学日本代表には2回生から選出され、今年はキャプテンとしても活躍した。2019年より東北楽天ゴールデンイーグルスでプロ入り。 

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