1月1日に発生した令和6年能登半島地震は、日本全国で防災について考える契機となった。本学の研究機関の一つである歴史都市防災研究所(京都市北区)では、文化遺産や歴史都市を中心に災害に関する研究が進められている。地域や企業との連携ほか、国外の機関とも協働するなど、その活動は多岐にわたる。文化財の価値と人々の安全の二つを守ることが、全体的な研究テーマであるという。
同研究所では、能登半島における社寺の地理的分布と被災状況に関する研究が実施された。能登半島は、交通手段が限られているという点で、現地での復興や研究への取り掛かりが困難な地域であるという。同研究所の所長を務める吉富信太教授(理工学部)は「このような状況においては、実際に現地に行くまでにできることを模索することが重要だ」と話す。
今回の研究について、副所長の花岡和聖教授(文学部)は「デジタルな情報を整理して提示することで、被害の情報を分かりやすく伝えることも重要だ」とした。
また、学生の防災意識に関して、吉富教授は「地震は必ず来ると意識しておいた方がいい。事前に備えることはできるので、ハザードマップで避難所の場所や震度分布などを把握する▽飲食物の備蓄をしておく▽大学での避難訓練を真剣に取り組む──など日頃から自分事として防災意識を持っておく必要がある」と呼び掛けた。
さらに、本学にさまざまな地域からの学生が在籍していることを踏まえ、花岡教授は「下宿生、特に新入生は下宿先の周辺地図をしっかり参照しておくといい。遠くから通学している学生は、災害時帰宅困難者になってしまう可能性があるため、災害時の連絡手段を確認しておいてほしい」と訴えた。
なお、同研究所では定期的に防災資料や研究成果に関する展示が行われている。現在は関連企業等による防災への取り組みが展示されており、4月26日まで公開予定だ。(竹内)