本学は4月5日に「卒煙支援エリア」を、衣笠キャンパスの学生会館北西側スペース、びわこ・くさつキャンパス(BKC)の第1駐車場北側・エポック立命21西側、大阪いばらきキャンパスのE棟北側に設置した。
卒煙支援エリアとは、改正健康増進法で定められている特定屋外喫煙場所にあたり、全面禁煙となっているキャンパス内での喫煙が可能な区画。今回の再設置は新型コロナウイルス感染症のまん延防止などを理由に、2020年9月に閉鎖されて以来初となる。
卒煙支援エリア設置の背景にある問題は大きく分けて二つあると学生オフィス(衣笠)の藏重暢宏(くらしげのぶひろ)さんは話す。
一つはキャンパス周辺での喫煙マナーの悪化、それに伴う近隣住民からの意見によるものだという。各キャンパス周辺のコンビニエンスストア等の灰皿設置施設の利用態度や歩きたばこなどが問題視され、さらにはキャンパスから死角になる私有地での喫煙といった行動も確認されていた。こうした行動は吸い殻などのごみ問題を引き起こす上、キャンパス内外で人々に受動喫煙による健康被害をもたらすことが懸念される。
もう一つの問題として、キャンパス内での火災リスクがあったという。キャンパス内のごみ箱の中に吸い殻が捨てられた事例が複数あり、火災を引き起こす危険性があった。また特にキャンパス内で隠れた喫煙が見られたBKCでは、設置されている学部の特性上、引火しやすい薬品を取り扱う施設があることから、大きな火災や事故の要因になり得ると懸念されていた。
こうした課題は本学学友会側も認識していたと、学友会学園振興委員長の瀧口夏寧さん(文4)は振り返る。「キャンパス内に喫煙所がないことによって生じている課題について全学アンケートや各学部自治会アンケートを行ったところ、多くの学生がキャンパス周辺の喫煙マナーについて問題意識を持っていた。卒煙支援エリアの設置は「そうした諸課題を感じていた学生の要望に応えるという形で実現できたこと」と話し、これからも問題に感じたことは学友会が行うアンケートの回答などで知らせてほしいと話した。
キャンパス禁煙化に取り組んできた本学学生部副部長の林永周准教授は、卒煙支援エリアの設置によって大学が喫煙を推奨しているわけではない、と大学が卒煙支援エリアを設置した意図について説明した。「コロナ禍前から掲げているキャンパス全面禁煙化、学生喫煙率減少の目標は今も変わらない。多くの人は20歳になる大学在学中に喫煙者になるため、喫煙せず卒業していく学生が増加すれば、学内の喫煙率は減少していくはず。現在卒煙支援エリアを使用している学生は、今一度喫煙に対する意識を見直してみてほしい」と、禁煙のサポートを今後も継続する姿勢を見せた。
(三好)