立命館大学新聞のコラム欄「海神(わだつみ)」記者が日々の思いを綴ります。
秋学期が始まって1カ月。秋、服装に迷う季節だなと思っていたのもつかの間、冬の足音がそこまで迫っている。慌てて冬服を引っ張りだした。半袖は来年まで休んでもらおう。10月ももうすぐ終わり。秋と冬の狭間のようなこの時期が、私はとても好きだ。朝6時の澄んだ空。無性に食べたくなるチョコレート。駅から見えるきらきらした夜景。頬を撫でるひんやりとした風。いつの間にか外の景色はすっかり秋めき、少しずつ冬の準備を始めていたらしい。
10月は飛ぶように過ぎた。大きなものから取るに足らないものまで、失敗の連続だった。つまずいてばかりで足下のおぼつかぬままスタートを切ったが、それでもキャンパスに通うことができる喜びを噛みしめずにはいられない。ああやっと大学生になれたのだという実感。なんとも言えない嬉しさが胸の中であたたかい。
1年前の自分に見せてあげたい。早起きはうまくいかないし課題は難しくてなかなか進まないけれど、不器用なりに頑張れている。1年前に描いていた自分の姿に近づけているだろうか。それとも相変わらずだと笑われるだろうか。
「上手くいかない日も、愛しい欠片なんだ」。お気に入りの歌詞をそっと口ずさむ。消し去りたい失敗は山ほどあるけれど、半年遅れで始まった一度しかない大学生活の中での「失敗」はいつまでも忘れたくないと思うのだ。そんなことを考えながら、私は今日も大学までの道を歩く。(坂口)