今年の祇園祭は昨年に引き続き感染防止のため規模を縮小、山鉾の巡行なしで開催される。本来ならば公開予定であった幻の山鉾「鷹山」について本学文学部の矢野桂司教授に取材した。
矢野教授の専門は地理学であり、京都の過去の街並みを写真や絵画、資料を参考にして3DのCGで再現することに取り組んでいる。また祇園祭での山鉾の設計や音楽、山鉾の速度などを最新技術を用いて記録、デジタル上で再現することも可能にした。
鷹山とは応仁の乱以前から存在していた山鉾であり、1864年の蛤御門の変による大火で焼失してしまった。そして2012年に鷹山の歴史と未来を語る会、2015年には鷹山保存会が設立された。それから科学技術を駆使して鷹山が復元され2020年に巡行をする予定であったが、新型コロナウイルスの影響で祇園祭が中止、巡行も中止になってしまった。現在は2022年の巡行復帰を目指して作業が進行中である。
鷹山を復元するにあたり参考にできる資料は少なかった。しかし、現存していた御神体を使い、車輪は船鉾のものを譲り受け、前懸、後懸はペルシャ絨毯を購入したという。また、文献や絵画から巡行ルートを特定し、実際に鷹山が安全に巡行できるかどうかを確かめるために京都市を3Dデータ化した地図を用いた。三条新町を再現したデータを利用し、道幅や電柱を考慮しつつ人の動きも再現しさまざまな巡行案を試行した。来年の巡行ではこのシミュレーション結果が活用される予定だ。
鷹山の授与品の販売は7月21日から23日の午前10時から午後7時まで鷹山保存会で行われる。(佐藤)