加藤周一文庫(平井嘉一郎記念図書館2階)の蔵書公開から5年が経った。同文庫は本学とゆかりが深い加藤周一の厖大な蔵書、遺稿・ノート類を遺族より寄贈され、平井嘉一郎記念図書館の開館にあわせ、2016年4月に開かれた。蔵書は約20000点に及び、約12000点は開架式書庫、約8000点は閉架式書庫に収蔵されている。加藤周一関連の蔵書数は日本随一で、加藤を学ぶ多くの人の拠点となっている。
開架式書庫の蔵書は三群に分けられている。第一群は、加藤が利用した書籍・雑誌、第二群は加藤の著書と著作、第三群は加藤について書かれた書籍・雑誌だ。使いやすさを意識し、第二、三群は日本十進分類法ではなく刊行年代順に配架されている。
遺族の思いを受け、蔵書は広く市民にも公開されている。加藤周一現代思想研究センター顧問の鷲巣力先生は、可能な限り公開することに意欲を見せる。「公開と保存は二律背反だが、いかに使ってもらうか考えている」と語った。しかし、鷲巣先生は閉架式書庫にて「上(開架式書庫)には持っていけない」と悔しさを見せた。大江健三郎など著名な作家のサイン本や加藤のメモが残る書籍、加藤の手稿ノートなど貴重な蔵書が収められているのだ。手稿ノートは毎年6冊ずつデジタルアーカイブ化し、広く公開している。
(三井)
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