京都市東山区の国宝・三十三間堂で12日、弓道の腕前を競う新春恒例の「大的(おおまと)全国大会」が開かれた。本年度に20歳を迎える大学生ら約1600人が、晴れ着姿に身を包み次々と矢を放った。
今年で75回目を迎える大会は、武士が本堂の軒下約120メートルを射通す矢の本数を競った「通し矢」にちなんだものとされる。
開会式で、京都府弓道連盟の千田寿男会長は「弓道は礼を尽くして真実真理を探究する道だ。1本は将来の自分自身の発展のために、もう1本は自分以外の人や社会を思って放っていただきたい」と期待した。
本堂の西側に設けられた会場では、成人男子の部や成人女子の部に先立って、午前8時半ごろからデモンストレーションが行われた。厳しい寒さの中、参加者らは横一列に並び、60メートル先にある直径1メートルほどの的を狙って、次々に矢を放っていた。
京都橘大2回生の野玉夏美さんは「通し矢に出たことがある母から、衿(えり)を借りて臨んだ。母と同じ場で引くことに憧れを抱き、楽しみにしていた」と振り返る。「弓道から礼儀など大切なことを学んだ。大人になってからも大切にしていきたい」と決意を新たにしていた。
(小林)