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理工学部川村貞夫教授ら 「自律移動式下膳ロボット」の研究を発表

10月12日、本学理工学部の川村貞夫教授が研究責任者を務めるプロジェクト「CPS構築のためのセンサリッチ柔軟エンドエフェクタシステムの開発と実用化」に関するプレス説明会が開催された。
川村教授の研究は、サイバー空間と実空間を組み合わせたもので「モノをつかむ」などICTのみでは解決できない課題を解決するために進められている。また本研究は、配膳や盛り付けの自動化によって食品産業や飲食業界の労働力不足の解決を想定している。

【研究の詳細】
ロボットハンドは様々な重量、柔らかさ、滑りやすさに対応可能。例として以下の2つが挙げられる。

○食べ物のハンドリング
・ロボットハンドにセンサーが付いており、皿の上の物を掴み片付ける。食べ物や残飯などの「登録物」とゴミや客の忘れ物など「非登録物」を瞬時に仕分ける。
・お弁当の製造ラインを模したもの、高速で流れていく天ぷらなどの盛り付けなど、実用化を意識した実験がなされている。
・部屋の情報はサイバー空間に送られ、物を落としてしまったタイミングなどが情報として蓄積されていく。サイバー空間は人間における脳の部分にあたる。

天ぷらをつかもうとするロボットハンド

○お皿のハンドリング
・水やケチャップなどが付いた食後の皿を滑らないように引き出すロボット。
・靴底と同じ素材が使用されており、滑りにくくなっている。
・食洗機に送る工程までロボットの自律した動きで行われる。

裏返った食器を持ち上げるロボットハンド

3つの観点

ロボットがモノをつかむことの難しさについて川村教授は3つの観点があるとしている。1つ目は認識問題である。人間はモノを見ただけで、その重量・柔らかさ・摩擦・どこを持てばいいのかなどを瞬時に理解できる。そこには、幼少期からの経験の蓄積というロボットには存在し得ない理由がある。2つ目は、機構・制御問題である。工場のレーンなど人間のいない空間でも対応できるよう、確実性・高速性が求められる。3つ目は、実用化問題である。例えロボットが完成してもそれが高価格であれば、一般の飲食店では取り入れられないだろう。他にも高信頼性や利便性も備えられていなければ、なかなか市場には降りてこない。このように、本研究プロジェクトには様々な問題が混在しており、一つの技術開発では解決できないことから、他大学や企業などから成る「異分野結集チーム」として研究開発が進められている。

メッセージ

今回のプレス説明会には、外部にも協力を求め、できるだけたくさんの繋がりを作るという意図があったという川村教授。学生に対し「まずロボットやAIの利点と欠点など概略を理解し、どのように生かせるか考えてみてほしい」と語った。(佐野)

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