北陸新幹線の福井県敦賀市から大阪までのルートについて与党プロジェクトチームは12月20日に開いた会合で、検討されていた3つの候補のうち、同県小浜市を通って京都駅に南下する「小浜・京都ルート」(以下、小浜案)とすることを正式に決定した。京都―新大阪間のルートについては判断を先送りし、年度内の決定を目指す。
敦賀以西のルートは、小浜市を経由して京都駅に向かう「小浜案」、京都府北部の舞鶴市を経由して京都駅に向かう「舞鶴案」、滋賀県の米原駅で東海道新幹線に接続する「米原案」の3つが候補だった。敦賀―新大阪の所要時間は、小浜案が最短43分。舞鶴案が60分、東海道新幹線へ乗り換えが必要な米原案は67分。運賃は、同区間で小浜案が最も安い5380円、舞鶴案が6460円、米原案は6560円となっており、所要時間・運賃ともに小浜案が優勢だった。
全長1400㎞の小浜案は、建設費が約2兆700億円、費用対効果(総便益/総費用)は1.1と試算されている。
決定を先送りした京都―新大阪間は東海道新幹線の北を通る「北回り」と、京都府が提案した京田辺市を経由する「南回り」を検討してきた。京都府はJR学研都市線の京田辺駅付近に新駅を設置し、在来線接続の強化を狙う。検討委員会は調査結果を待って再検討する。
昨年開業の北海道新幹線や一昨年開業の北陸新幹線は、開業後に地域を訪れる観光客が増加するなど、一定の効果を挙げた。一方で新幹線が開業すると、平行して走る在来線の利用者数の低下が見込まれ、在来線はJRの経営から分離することになっている。ほとんどの場合は第三セクターとして存続するケースが多いが、経営安定化は難しく、運賃高騰や本数減少が起こりうる。小浜案の並行在来線には湖西線が該当する可能性があり、滋賀県は反発している。
また北陸新幹線開業後初めてとなった昨春の大学入試で、関西の私大は北陸3県からの志願者数が軒並み減少。北陸から東京へのアクセスが大幅に向上して首都圏の大学に受験生が流れたとの見方がある。財界では、早期に延伸しなければ、北陸とのつながりが劣化し、人の流れが東京へとシフトしてしまうと危機感を募らせている。
北陸新幹線は2022年に金沢―敦賀間が延伸開業予定。小浜ルートの着工は2031年度で、全線開業はいまから30年後の2046年度になる見通しだ。(吉武)