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国際平和ミュージアム 2021年リニューアル休館へ(現在、臨時休館中)

立命館大学国際平和ミュージアムは、館内及び展示物のリニューアル工事を実施するため、2021年4月1日から2023年9月頃まで休館する。ただし、休館中の2021年度春学期において、学内者への対応は実施される予定だ。今回、国際平和ミュージアムの館長である吾郷眞一教授にリニューアル工事についての詳細を伺った。(1月15日取材)

地階の展示物の前に立つ吾郷館長

国際平和ミュージアムは、本学の教学理念「平和と民主主義」を具体化する教育・研究機関として1992年に開設された。被害と加害の両方の立場から捉えた展示や、戦争のみならず世界のあらゆる問題から総合的に平和を考える展示がなされるなど、ほかの戦争や平和を扱う博物館とは異なるものとなっている。

国際平和ミュージアムのあるアカデメイア立命21は建設から約30年が経過し、館内に不具合が生じてきた。温湿度管理が困難であることが原因でカビや害虫が発生したり、水漏れが生じたりしている。また、30年前に造られた建物ということもあってユニバーサルデザインが施されていないため、誰もが利用しやすい状況ではない。

展示についても、2005年のリニューアルから15年以上を経ているため、提示内容に国際的な平和をめぐる情勢があまり反映されていない。また、現在学園として課題になっているSDGsや現代的な平和構築の課題も十分に提示されていない。
そのような現状を踏まえて、抜本的に館内及び展示物をリニューアルするため、約2年間という長期にわたった工事が行われる。

地階の展示
2階の展示

現在、地階の展示テーマを「平和をみつめて」、2階の展示テーマを「平和をもとめて」としているが、空間的な隔たりと展示内容の隔たりという二重の隔たりがあることが指摘されている。今回のリニューアルでは、常設展を地階に集中させ、1つの統一したテーマ「平和を見つめて(モノが語る戦争の記憶~平和創造への努力)」として展示される。

具体的には、年表展示とテーマ展示にわけられる。年表展示では日清戦争から現代までが扱われ、時代区分ごとにダイナミックでグローバルな視点から展開することが目指される。新たな事象を随時付け加えられるようにするほか、デジタル技術を導入しつつ、モノ資料を中心として見学者が「なぜ?」と考えることができる展示にすることが重視される。

テーマ展示でもモノ資料を中心に、年表で記述された諸事象をより深く学べる展示になる予定だ。戦争の構造、戦争の諸相、戦争の記憶・物語、戦後の日本と戦争、国連、NGO、現代の平和と民主主義など多岐にわたるテーマが設定され、展示が構成されることとなっている。

また、学びをさらに深めてもらえるよう、見学の前後に活用できる「ピースコモンズ」が設置され、グループ学習ができる空間が提供される。

今回のリニューアルは、建物工事と展示の改変を合わせたものであり、莫大な費用がかかる。その中で展示部分のリニューアルについてはこれまでに寄せられた寄付金が活用される予定となっている。今後、リニューアルに関わる新たな寄付金の募集も行うつもりだという。

現在の展示は時代遅れな部分があるにしても、見る価値のあるものばかり。国際平和ミュージアムが休館になる前に、常設展の全てをじっくり見学することを勧める。特に2階で展示されている「平和をもとめて」を見て「平和とは?」という課題に向き合ってほしい。また、2月から3月にかけては学徒出陣をテーマとしたミニ企画展示が開催される。1943年に学生が戦場に送り出され、本学の学生約3000名が学徒出陣したが、約2000名しか戻ってこられなかった。そのような事実を知り、大学と戦争との関わりについて考える機会をもってほしい。そして、現在の展示をよく見ておけば、リニューアル後に以前の展示との違いをより実感できて楽しめる。ぜひ休館までに足を運んでみてはどうだろうか。(廣部)

※立命館で学ぶ人・働く人は入館料無料
※現在は緊急事態宣言の発出を受けて、臨時休館中→詳細は国際平和ミュージアムのHPにてチェック

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