印象派を代表する画家、クロード・モネ(1840~1926年)の作品を集めた展覧会「モネ 連作の情景」の大阪展が10日、大阪中之島美術館(大阪市北区)で開幕した。開幕に先立って9日には報道関係者向けの内覧会が行われ、同展のナビゲーターを務める俳優の芳根京子さんが登壇。展示作品が「モネ100%」となる同展の魅力を語った。
同展は、同じモチーフを異なる天候や時間、季節で何度も描く手法「連作」に焦点を当てたモネの回顧展。展示は全てモネの作品で構成される。印象派が誕生した「第1回印象派展」の開催から150年を迎える節目となる今年、40館以上の国内外の美術館からモネの作品が集結。日本初公開の作品を含む約70点が一堂に会する。
昨年10月から今年1月にかけて上野の森美術館(東京都台東区)で東京展が開催され、46万人以上の来場者を記録。大阪展では、東京展にはなかった《睡蓮(すいれん)の池》などの作品約10点が加わる。「大阪展で最後になるので、ぜひたくさんの方に来ていただき、喜びや感動を共有できたらうれしい」と話す芳根さん。「アート初心者だったが、今ではモネに魅了されている」と笑みを浮かべた。
展示は、①「印象派以前のモネ」②「印象派の画家、モネ」③「テーマへの集中」④「連作の画家、モネ」⑤「『睡蓮』とジヴェルニーの庭」の全5章で構成。時系列に沿ってモネの人生をたどり、「連作」に至るまでの過程を追う形だ。
第1章「印象派以前のモネ」では、日本初公開となる《昼食》をはじめ、オランダ滞在時に描いた風景画など初期作品が展示される。《昼食》は、後にモネの妻となるカミーユと息子のジャンが食事する日常の風景を描いた、高さ2.31メートルにもなる作品。同館の研究副主幹・小川知子さんは、モネとしては珍しい人物画・室内画であり、初期の大作だと紹介する。
オランダから帰国したモネは、サロン(官展)落選を経験した仲間らと共に新たなグループ展を構想し、1874年に第1回印象派展を開催した。第2章「印象派の画家、モネ」では、モネがセーヌ川流域を拠点として描いた水辺の風景など、印象派らしい作品が展示される。
また、モネは新たな画題を求めてヨーロッパ各地を旅していた。第3章「テーマへの集中」では、さまざまな場所が季節や天候、時刻によって変化する様子を描いた作品を展示。《ヴェンティミーリアの眺め》や日本初公開となる《エトルタのラ・マンヌポルト》などの作品が並ぶ。
モネは1880年代中頃から「積みわら」を題材とした作品を描き始め、モネが名声を確立する契機ともなる「連作」の手法に到達する。第4章「連作の画家、モネ」ではさまざまな題材の「連作」を展示。積みわらのほか、ロンドン市内のチャリング・クロス橋やウォータールー橋などの情景を題材とした作品から、空気を描き分ける「連作」の手法が見て取れる。
続く第5章「『睡蓮』とジヴェルニーの庭」では、モネの代表作である《睡蓮》など、村の様子や庭の睡蓮を描いた作品の数々が並ぶ。後半生をフランス北部のジヴェルニーで過ごしたモネ。家に整備した「水の庭」で栽培した睡蓮を、繰り返し描いたことで知られている。展示室の最後には、睡蓮を題材にした作品などが来場者を囲むように並べられており、来場者はモネが描き分ける庭の情景に見入っていた。
同館館長の菅谷富夫さんは「(本展は)モネの視点の一部を共有できる展覧会。ぜひ多くの皆さんに絵の前に立ってご覧いただきたい」と話している。
同展の会期は5月6日まで。開館時間は午前10時〜午後6時(最終入場は午後5時半)。休館日は毎週月曜日。観覧料は大学生の場合1500円。詳細は大阪展公式サイトを参照。
(小林、吉江)