ケアラー支援の動き 自己実現とケアを両立するために
20年に埼玉県が全国初となる「ケアラー支援条例」を施行して以来、全国の自治体でケアラーを支援する条例制定の動きが広がっている。京都市でもケアラー支援条例が昨年11月に施行された。同条例はケアラーを社会全体で支え、全てのケアラーが健康で文化的な生活を営み、自己実現を図ることができる社会の実現を目指す。
「現在の日本は決してケアに寛容な社会ではない。ケアを引き受けることで社会的不利を被ることがある。ケアを引き受けても自己実現が可能な社会づくりをしていく必要がある」。
ケアは誰もが関わる可能性がある。悲劇を招かないためにも、「バウンダリー」を意識することが重要だと話す。バウンダリーとは心理学用語で、自分と他者を区別する境界線のことだ。
「愛があってもケアがあっても、境界線があって、相手は自分とは違う存在だという発想を持つことが必要。バウンダリーを持つことで、ゆくゆくケアが発生しても自己実現へ向かっていけるのでは」とし、「バウンダリーの意識は、大学生にとって身近なデートDVや親の過干渉などに対しても生きてくるはず」と述べた。
(井本)