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立命館大学アート・リサーチセンター 「生きた歴史」を後世へ

大英博物館でのデジタル化も担う

(2018年新歓号紙面より)

 

立命館大学アート・リサーチセンターをご存知だろうか。本学の衣笠キャンパス内にある施設で、設置許可がおりてから今年で20年になる。

アート・リサーチセンターでは人類が持つ文化を後世に伝えるため、芸術・芸能などの文化の所産を研究・分析し、デジタル化する活動を行なっている。芸術品を展示する美術館ではなく、デジタル化した芸術品や伝統文化を「生きた歴史」としてアート・リサーチセンターのホームページ上で公開し、多くの人が閲覧できるようにしている。芸術作品をデジタル化することによって、今まで解明されていなかったこともわかるようになるなど、文化研究の発展にも貢献している。

アート・リサーチセンターの浮世絵データベース

またアート・リサーチセンターは浮世絵のデータが充実しており、世界最大のデータベースを収録している。世界で100万点もの浮世絵がある中で、収録している数は約53万5000点、公開しているだけでも12万点にも及ぶ。浮世絵は光に弱く傷みやすいため、デジタル化をすることによって、作品も傷まずに鑑賞することが可能だ。また、浮世絵は複数枚が合わさって1つの作品になるものも多く、その一部が世界中に保管されているため1度に1つの作品として見ることは難しいが、デジタル化することによって複数枚で構成される1つの作品を何度も見ることも可能になる。

貴重書籍に指定されていて簡単には閲覧できない古典籍も、デジタル化することによってすぐ閲覧できるようになる。展示されている場合にはページをめくることはできないが、古典籍をデジタル化したものはページをめくることができるなど、デジタル化ならではの工夫もみられる。

3D仮想空間を用いて能楽堂で能を舞うことや展示会を回ることができる取り組みも行なっている。3D仮想空間では自分のアバターを作成できたり、多くのキャラクターが選択できたりと、没入感を重視している。

年に1度催される祇園祭も、「生きた歴史」として研究している。祗園祭で奏でられる音に着目し、それを録音し、研究対象としている。他にも、着物の柄の型紙をデジタル化し、それをデータベース化することによって、データ上で色を組み合わせることや、好みの柄をすぐに探すことも可能にするなど、京都ならではの取り組みも行なっている。

ホームページ上には「京都の鉄道・バス写真データベース」もあり、昔の京都の路面電車やバスの写真が公開され、地理学の研究にも貢献している。写真は、地域住民がアート・リサーチセンターに提供したものが多く、今では地域住民の協力があってこそ研究ができている。

普段は目にかかれない伝統の芸術・芸能や、年表には載らない「生きた歴史」を公開しているアート・リサーチセンター、読者の皆さんもホームページを覗いてみてはいかがだろうか。

 

《LINK》

立命館大学アート・リサーチセンター

アート・リサーチセンターデータベース

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