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【立命館教員インタビュー特集】第4回:庄子萌先生

庄子萌先生

#演劇パフォーマンス #パラテクスト #国際教育

異文化交流科目・海外留学科目などの授業を担当するほか、Beyond Borders Plaza(BBP)のインターカルチュラルアドバイジングデスクで、国際交流・言語学習に関するアドバイスを行う庄子萌先生。第4回教員インタビューでは、庄子先生のこれまでの研究や学内での国際教育に関する話を伺う。

〇インターカルチュラルアドバイジングデスク
BBPが提供する予約制サービスの一つ。海外留学や国際交流に関する相談を幅広く受け付けている。

─現在の研究テーマの内容についてお聞かせください。

主に、演劇パフォーマンス作品におけるパラテクストを研究テーマとしています。パラテクストとは、本文であるテクストを支える周辺のテクストのことを指します。私の研究では、観客が体験する演劇作品そのものをテクストとして捉えた時に、一見するとたわいないものに見える周辺のパラテクストが、その作品の重要な部分を支えているのではないかということを考察しています。

私が特に関心を持っている作品には、演劇の全体的な枠組みは決まっていても、それの元となる詳細な台本が、必ずしもあらかじめ存在しているわけではない、というものが多いです。そのため、作品によっては、方向性は同じでも、その時々の観客の反応によって内容が少し変化するということが起こり得ます。観客が作品の流れに関わってくるこのような作品では、その観客の体験自体が作品の考察の一助になります。自分の観客としての体験をもとに実践的な考察ができるというのが、これらの作品の興味深い点です。

〇パラテクスト
テクストに接している、あるいはその周縁に存在している準テクスト要素のこと。例えば、ある書籍に関してテクストとは中身の本文のことを指す。しかし、表紙のタイトルや作者名、序文や脚注など、読者はテクストに到達するまでにさまざまな文字情報を目にする。このような周辺のテクストをパラテクストという。

─学生時代は、どのようなことを勉強されていたのでしょうか。

もともと現代演劇に興味がありました。大学3回生で専攻を決める際、フランス文学と英文学どちらの観点から演劇を研究するかを迷い、まずはフランス文学を選びました。その中でも主にサミュエル・ベケットについて研究していたのですが、ベケットはフランス語と英語の二つの言語で執筆し、自己翻訳を行う作家でした。研究を通して、複数の言語の中での創作や翻訳について深く追求することができたため、大学院に進むにあたって英文学へ方向性を変えるのも、難しいことではありませんでした。

演劇作品は、文字だけではなく、演者や観客などそこに関わる人々の営みによって実現されていくものです。そこで、演劇が実際に作られている場所で実践的な勉強をしたいと思い、イギリスの大学院に進学することを決めました。私が行ったイギリスのシェフィールド大学には、演劇について理論と実践の両方から研究ができるコースがあり非常に魅力的な場所でした。学んだことを生かし、現地で演劇パフォーマンスに関するフェスティバルを開催したことは印象的な思い出です。現在、観客の作品への参加や鑑賞体験についてより掘り下げたいと感じ、日本で新たなプロジェクトを進めているところです。

〇サミュエル・ベケット(Samuel Beckett, 1906-1989)
アイルランド出身の作家。第一言語である英語に加え、フランス語でも執筆を行う。代表作は『ゴドーを待ちながら』など。

─文学、中でも演劇パフォーマンスに興味をもったきっかけについて教えてください。

元々、小説や詩など言語芸術に広く関心を持っていました。それとはまた少し別の方向性として、幼少期から慣れ親しんでいたバレエ、ミュージカルなどの舞台芸術への興味がありました。その後掘り下げて学びたいことについて考えていく中で、ストレートプレイ(台詞劇)、特に「ハムレット」の翻訳劇の上演に出会ったことが一つの転換点となりました。言語芸術と舞台芸術への興味の方向性が、「演劇」という形で私の中で一つに定まったように思います。

振り返ってみると、大学時代のベケットの研究にも通じているのですが、異なる言語同士の出会いとも言える「翻訳」という行為への関心や、複数のジャンルにまたがるような作品への関心など、「もののあわい」にあるものに引かれているように感じます。

─本学での国際教育についてお聞かせください。

国際教育に関して、私が担当しているのは、大きく分けて二つの分野に分かれています。一つは、異文化間のコミュニケーションや留学準備についての科目を担当することで、もう一つは、BBPを中心に学内の国際交流を推進することです。国際交流の推進という点では、BBPスタッフの活動のサポートや、インターカルチュラルアドバイジングデスクで言語学習や留学についてのアドバイスを行っています。また、留学生から日本での生活に関する相談に乗ることもあります。

─最後に、学生へのメッセージをお願いします。

遠回りすることをあまり恐れないでほしいと思います。多くの選択肢がある中で、結果的に遠回りに見えるような道でも、それは後々自分の人生の糧となってくれるはずです。

実際、私は現在イギリスの文学や演劇パフォーマンスについての研究をしているので、全体的に見るとフランス文学を学んでいた時期が遠回りしているように見えるかもしれません。ですが、フランス文学を通して学んだことは、最終的に私の研究における着想の基礎になっていて、今までの学びは全てつながっているのだと感じます。

決して無駄なものはないので、自分がその時に心が引かれるものを大切にしてほしいです。(竹内)

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