自宅に届く食品の生産者とオンラインで交流し、東北の今を感じてください―――。「0泊2時間東北食べるツアー~生産者と語ろう~」が4月18日、オンラインで行われた。このイベントは、東北6県の農家や漁師の姿を伝える情報誌「東北食べる通信」と本学災害復興支援室がコラボし実施されたもの。岩手県山田町で牡蠣など計4種類の海産物を生産・出荷する漁師の佐々木友彦さんが、同誌編集長の成影沙紀さんと共に現地から中継をつなぎ、17人の参加者と交流した。
イベント当日はまず、船上から中継をつなぎ、普段の漁の様子を紹介した。佐々木さんは海中からクレーンでロープを引き、手際よく牡蠣やムール貝などを収穫しながら漁について解説を行った。
佐々木さんは牡蠣やムール貝といった知名度の高い貝に加え「赤皿貝」という珍しい貝を出荷している。赤皿貝は、牡蠣にくっついて育つため「足糸」(そくし)という部分を切って収穫する。ただ鮮度が落ちるのが非常に早いことから、以前は地元でしか流通していなかった。そこで佐々木さんは収穫方法を工夫。研究を重ねて鮮度が長持ちする足糸の切り方を発見し、赤皿貝を全国に向けた商品として成立させたという。「赤皿貝はどのような味がしますか?」という参加者からの質問には「ホタテみたいな感じ。でもホタテとは違う風味もしておいしいですよ」と笑顔を見せた。
その後、漁港にある漁師小屋に場所を移し、参加者に向けて赤皿貝のさばき方講座が行われた。イベント参加者の自宅には事前に赤皿貝と情報誌が届けられており、話を聞きながら同時に貝をさばく参加者も見られた。佐々木さんは貝の部位について詳しく説明しながら手際よく貝をさばき、刺身と肝醤油の作り方をレクチャー。また「蒸したり焼いたりしてもおいしい」と、おすすめの食べ方を紹介した。
最後は、佐々木さんと成影さん、参加者の間で座談会が行われ、和やかな雰囲気でオンラインツアーは幕を閉じた。
2011年4月に開設した本学災害復興支援室はこれまで、学生や教職員のボランティア派遣、自治体・企業と連携した復興支援プロジェクトなどを行っていた。しかし、新型コロナウイルスの影響により実施が難しい状況に。そこで、生産者との強いコミュニティーを持つ「東北食べる通信」にコラボレーション企画の実施を依頼したという。開設10周年の節目に、生産者までも巻き込んだコラボ企画が実現した。
事務局の名和拓哉さんは、東北食べる通信とのコラボ企画は今回を含め全6回開催予定だと語る。次回は6月19日に予定されており、クローズアップされる食材は魚の一種である「どんこ」。メインターゲットは学生としているが、職員や校友、一般の方も申し込み可能だ。(石渡)
株式会社ポケットマルシェが運営する食べものつき定期購読誌。独自の哲学やこだわりを持って食べものをつくる東北各地の農家・漁師の姿を伝えている。毎月 1 回、東北各地の農家や漁師にクローズアップした特集記事とともに、彼らが収穫した食べものをセットでお届け。フルーツや野菜、海産物まで幅広い食べ物を扱っている。
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