新型コロナウイルス感染拡大により様々な活動が制限される中、学校法人立命館が立ち上げたオンラインコミュニティサイト「Beyond COVID-19(ビヨンド・コロナ)」で中高生向けのコンテストを実施している高校生がいる。立命館守山高校の富岡大貴さん(3年)、廣田七海さん(2年)、奥西授さん(2年)の3人だ。
「ビヨンド・コロナ・コンテスト」と題し、5月7日〜5月30日までの期間、全国の中高生の取り組みを集める。「チャレンジ」「ゴハン」「オウエン」の3分野に分かれており、「チャレンジ」では新しいことへの挑戦、「ゴハン」では新型コロナウイルスの影響で売れにくくなった食材を使った料理、「応援」では生活を支える人たちへの応援メッセージなどを募集している。
企画している高校生の3人は立命館守山高校の「インパクトゼミ」に所属し、その中のGENIEというチームで、積極的に活動を行ってきた。本記事では、ビヨンド・コロナでの取り組みやこれまでの活動について伺ったオンラインインタビューの様子をお伝えする。(鈴木)
「インパクトゼミ」とはどういった組織なのですか。
廣田:立命館守山高校のインパクトゼミは「理系と文系が力を合わせ、社会に対してインパクトを与えよう」ということをモットーに、12人で活動している団体です。それぞれ3人ずつのグループにわかれ、私たちは「GENIE」というチームとして様々な活動を行っています。
今までの活動について教えてください。
奥西:私たちはこれまで「キャリア甲子園」に向けて頑張ってきました。キャリア甲子園とは、マイナビが運営している高校生向けとしては最大のビジネスコンテストです。日本全国から約1000チームがエントリーをします。
キャリア甲子園の中にはいくつかのテーマがありますが、私たちは東京電力さんの「毎日の生活が楽しくなるインフラを使ったイノベーティブなサービスを提案せよ」という課題でアイデアを考えて提出しました。その結果、1次審査、準決勝と進み、決勝に進むファイナリストになることができました。
キャリア甲子園のプレゼンを行うに当たって、どのように協力して取り組んできたのでしょうか。
奥西:昨年度のキャリア甲子園2019の時は、瀧野志帆さん(心理1)を含めて4人で活動していました。それぞれ得意なことがバラバラで、得意なことを持っている人が他の人を引っ張るという形でうまくバランスが取れていました。
例えば、スライドが得意な人が他の3人が作ったスライドを見てあげる、プレゼンが得意な人がみんなに教えてあげる、コミュニケーションができている人が他の3人を支えてあげるということをしていました。足りないところを互いに補うという形で私たちのチームは取り組みました。
キャリア甲子園に向けての取り組みをするにあたって、大変だったことは何ですか。
廣田:私たちは「交通事故をなくそう」ということを目的にしたサービスを提案したのですが、最初はアイデア出しが行き詰っていて、全然違う方に進んでいいました。しかし、様々な人の助言をもらって、考えていくうちに、いろいろなアイデアが出てきました。その中で、何に一番注目すべきかを揉めることがあり、そこが大変でした。
また、計画を立てることが得意な瀧野さんがいないときは、私たちだけでは進められなくて、うまくいかなくなってしまうことがあって大変でした。
キャリア甲子園に参加してみて、どういった感想をお持ちになりましたか。
富岡:僕はプレゼンテーションの経験があまりなく、また文系の人と一緒に何かをするという経験はありませんでした。他の世界の人と活動することで新しい発見があり、楽しかったです。そして、これらのコンテストへの参加を通じて、自分たちも社会に対してなにかできることがしたいと思うようにもなりました。
ビヨンド・コロナに参加したきっかけは何ですか。
奥西:キャリア甲子園2019の決勝戦は、新型コロナウイルスの影響で中止となってしまいました。そのまま私たちのアイデアを終わらせるわけにはいかないと思っていたところ、瀧野さんが所属する立命館大学Sustainable Week実行委員会の方にお声掛けいただき、GWにYouTube LIVEで配信されたオンラインイベント「Sustainable Week LIVE」に参加させていただきました。
そこでは、幻となってしまったキャリア甲子園2019の決勝のプレゼンテーションを配信していただき、マイナビさん、東京電力さん、立命館森山高校の教員の方々に私たちの成果を見ていただこう、と取り組みました。
「幻の決勝プレゼン」を実際にやってみてどうでしたか?
廣田:本当はキャリア甲子園の晴れ舞台で私たちはプレゼンをするはずでしたが、それが実現できなくなって、ずっと悔しい思いをしていました。そんなとき、大学生の方々が一緒にやろうと言ってくださって、視聴者に自分たちで届けられる、しかも動画という残る形で伝えられるというのがすごく良いなと思いました。また、自分たちもコロナ期間にいろいろなことに挑戦してみたいと思っていたので、その一つの挑戦になったかなと思います。
「ビヨンド・コロナ・コンテスト」はどういった思いで始めたのですか。
富岡:世の中には、このコロナの期間中に活躍している高校生がいるのに、僕たちは何もできていないと悩んでいて、アクションを起こしたいと思って僕からメンバーに呼びかけてみました。コロナ期間中にいろいろなことに挑戦している中高生がいるので、それを集めてオープンにして、こんな風に考える学生がいるんだということを日本中の人に見てもらい、「日本はまだ明るいんだ」と感じていただけたらいいなというのが、GENIEとしての思いです。
ビヨンド・コロナの活動で刺激を受けたことはありますか。
奥西:ビヨンド・コロナのプラットフォームで大学生の方と話していくにつれて、大学生は高校生には無い、いろいろなものを持っている方がたくさんいるのだということがわかりました。高校生が気づかないようなことを指摘してくださったり、どんどんアイデアを出してくださったりして、関わっていただいた皆さんにはとても感謝しています。
現在の活動について教えてください。
富岡:我々のチームは、キャリア甲子園だけでは物足りないと思い、関西SDGsユースコンテストにも参加することにしました。第1回の開催で、もちろん過去にどういったチームが良い成績を取ったかはわかりません。さらに、本来は大学生がエントリーするようなコンテストでした。
そんなコンテストに高校生が挑む形になりましたが、予選を通過し、8月に本選が予定されています。高校生として、自分たちのアイデアの実現に向けて活動を続けています。
これからの活動への意気込みはありますか?
廣田:これまで、挑戦しようと思っても行動に移せないという人たちを見てきました。自分たち高校生が行動していくことによって、そういう人たちに刺激を与えて、何かやってみようかなと思ってくれるようなチームになっていきたいと思います。
全国の中高生に対してメッセージをお願いします。
奥西:新型コロナウイルスのせいで色々なことができなくなっていて、悲観的に捉えてしまうことも多いです。しかし全てを悲観的に捉えるのではなく、楽観的に考えてほしいと思っています。例えば、コロナのせいでずっと家にいなきゃいけないと思うのではなく、「いろいろなことに挑戦できるじゃないか」と全部プラスに変えて欲しいなと思っています。
廣田:全国の中高生の皆さん、私達と一緒に「ビヨンド・コロナ」しませんか?
GENIEが主催する「ビヨンド・コロナ・コンテスト」は、5月31日まで全国の中高生から応募を受け付けている。コロナ禍の中でも自ら道を切り開く高校生の姿に、これからも注目したい。
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