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【社説】順応への余白の時間を

コロナ禍の大学生活は3年目を迎えた。この2年でウィズコロナの大学生活が模索され、現在、基本的な感染症対策を講じた上で、対面授業が本格的に再開されている。その一方で、人の多さに戸惑う学生も少なくないのではないか。

対面授業においてBCPレベル2以下の場合、本学の換気装置の整備などにより、定員の100%で教室を利用することが可能になった。つまり、これまで着席不可となっていた座席にも着席が可能になったのである。また、対面授業再開に伴い、教室外の食堂やバスも混雑するようになった。よって、これまで保たれていたソーシャルディスタンスは、ほとんど保たれなくなった。こうした状況を前にして、直感的に忌避感を抱く学生もいるのではないだろうか。

コロナ禍が続き、良くも悪くも感染防止のための行動が私たちに習慣化されている。コロナに慣れた学生もいる一方で、感染への怖さだけではなく、コロナ禍でより強くなった「人混みへの忌避感」が共存する、客観的に証明できない不安がある学生も存在するのではないか。

また、約2年間、人とゼロ距離で過ごす時間が極めて少なかった学生たちの一部は、混雑に伴う音や臭いなどの刺激に、より敏感になり「対面疲れ」を感じているのではないか。

ウィズコロナからアフターコロナの生活様式に転換しつつある時期である。対面授業再開により、コミュニティ形成の場が創出されている。短い大学生活の中でそれらの機会を少しでも多く学生に提供しようとする大学の姿勢にも賛同できる。一方でコロナ禍になってから入学した学生が大半である現在、人の多いキャンパスは多くの学生にとって初めての経験である。目まぐるしい変化への順応に急かされるのではなく、学生が自身の状況や心と向き合える「余白の時間」が残されていても良いのではないか。

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