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【特集】海外大学との連携 Vol.2 キャンパスアジア・プログラム 3大学が生み出す「東アジア人文学リーダー」

本学はこのたび、文部科学省が実施する「スーパーグローバル大学創成支援(SGU)」事業の令和2年度中間評価においてA評価を受け「これまでの取組を継続することによって事業目的を達成することが可能」と判断された。
当事業は日本国内の高等教育の国際通用性・国際競争力の向上を目的に、海外大学との連携や大学改革により徹底した国際化を進める日本国内の大学に対して文科省が支援を行うもの。本学は「我が国の国際化を牽引するグローバル化牽引型大学」に採択されている。
本学が取り組む「海外大との連携」について全3回にわたって特集する。
今回は文学部の「キャンパスアジア・プログラム」を取り上げ、文学部事務室の段野真那さんと、キャンパスアジア・プログラム5期生の吉村美夢さんに取材を行った。

キャンパスアジア・プログラムとは?

立命館大学、東西大学校(韓国・釜山)、広東外語外貿大学(中国・広州)の3大学が運営を行う「キャンパスアジア・プログラム」。京都、釜山、広州という歴史ある3都市において「日中韓伝統文化と現代文化に通じた、高いコミュニケーション能力を有する人材の育成」「日中韓次世代リーダーのネットワークの構築」を目標に掲げる。キャンパスアジア・プログラムは、文部科学省による「大学の世界展開力強化事業」へ平成23年度より2期連続計10年間採択されている。
「もともとは2003年に韓国の東西大学校大学院と立命館大学大学院文学研究科の間で、大学院科目として『日・韓・中連携講座(東アジア連携講義)』が始まったことが原点。その後広東外語外貿大学も加わって3ヵ国の連携授業となった。この授業から得た経験と実績を発展させ、キャンパスアジア・パイロットプログラムが企画・運営されることとなった」と段野さんはプログラム誕生までの経緯を語った。

プログラムの様子(写真はコロナ禍以前)

プログラムがもつ意義

本プログラムについて、段野さんは「本学の学生が中国・韓国の同世代の学生たちとともに歩み、新しい時代を切り拓いていくプラットホームとなるもの」とした。3カ国の学生たちが平等な立場で助けあい、それぞれの大学の授業を現地の言葉で学ぶことでその国に対する理解が深まるという。
「プログラム学生が日中韓の各言語・文化・社会・歴史などを深く理解し、将来、さまざまな人々がともに暮らしていく社会環境を形成していく。彼らが『東アジアで活躍する優秀な国際人』になることを目指している」とプログラムの意義を語った。

オンラインでの取材に応じる段野さん

コロナ禍でのプログラム「今年は現地渡航を実施したい」

例年では2、3回生時の2年間で2ヵ国(中国・韓国)を2周する「移動キャンパス」がプログラム内で実施されるが、2020年度は新型コロナウイルスの影響で現地渡航が中止に。一部の授業はZoomなどの遠隔ツールを用い、韓国人・中国人学生との交流も行いながら進められた。「現地への渡航ができていないため、授業以外で語学を活用する機会を与えることができなかったことを申し訳なく思う」と段野さんは話す。
2021年度も、現在はオンラインでプログラムを進めている。日本政府の方針や各大学の判断から、渡航の有無は総合的に決めるという。「状況を見て今後現地渡航を再開できるよう準備を進めたい」とした。

「他者と積極的に関わっていきたい」プログラム5期生・吉村美夢さん

2回生の吉村美夢さんに、プログラム参加のきっかけや活動について聞いた。

もともと日本語や言語に興味があった吉村さん。日本語以外にも言語が多様にあるなかで、国としても距離が近い中国や韓国の言語を身につけたいと感じたという。「中国や韓国は日本人にとっても身近な国。近い存在にある国と日本とを比べて見えてくるものがあるのではないかと考えた。2回留学ができ、自分の成長が実感できるプログラムだと感じたのも理由のひとつ」と吉村さんは語る。

オンライン授業 試行錯誤の日々で成長を実感

現在は新型コロナウイルスの影響で現地渡航ができないため、授業はすべてオンラインで行われている。
「授業での発表や普段の課題に対する先生からのフィードバックが手厚い。また、授業では日本語が使われないのでリスニング力が去年よりも上がったと感じる」と話す。中国人の学生から日本語に関する相談に乗ったり、オンラインで一緒に課題をすることもあるという。
「授業で先生が話す内容が分からないこともあるが、その時は友人と助け合っている。言語のハードルは高いが、日本にはない歴史や文化を学ぶことができるのが楽しい」と笑顔を見せた。

プログラム5期生の吉村さん

「他者と関わることを大切にしたい」高校時代の活動が創った「今」

高校時代は放送部で活動をしていた吉村さん。放送部の活動の一環として声で情報を届けたり実際の取材から番組を作ったりするなかで「この頃から言葉に敏感になっていた」と振り返る。
「自分と違う世界に飛び込んで関わることを通して、異なる価値観や考え方をもつ他者と交流することの大切さ、ひとつのことを他の視点から見ることの難しさを経験した」と、高校時代の活動と今とのつながりについて語った。

これからの展望

これからの展望について、段野さんは「オンラインのさらなる活用」をしていきたいとした。「現地渡航ができないという大変な状況下だったが、去年の1年間で現地大学と協力しオンラインでも学びを止めないしくみの構築ができたと感じている。コロナがある程度収束して現地渡航ができるようになっても、状況を鑑みてオフラインとオンラインをうまく使い分けられるようにしていきたい」と語った。
吉村さんは「他者との関わりを続けていきたい。お互いが分かりあえないこともあるが、ここで『自分とは違うから合わない』と門を閉じてしまうのではなく、自分の世界を広げるきっかけにしたい。将来的な目標は具体的に決まっていないが、プログラムで学ぶ語学を活かした仕事や研究をしたい」とコメントした。
(坂口)

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