立命館大学は立命館創始150年・学園創立120周年を記念したシンポジウム「自由に生きるための知性とはなにか?」を5月24日に開催した。当初は渋谷ヒカリエ(東京都渋谷区)で開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響により、オンラインでの開催となった。それにより、国内外問わず社会人から高校生まで1000人を超える参加申込があった。さらに関連企画として、丸善ジュンク堂書店とのコラボレーションによるブックフェア「わたしをアップグレードする“教養知”発見フェア」も実現した。
シンポジウムは、東京大学先端科学技術研究センターの熊谷晋一郎准教授による「私を発見する知:リベラルアーツと当事者研究」と題した基調講演からスタートした。次に、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の上田紀行教授、名古屋大学大学院経済学研究科の隠岐さや香教授、本学グローバル教養学部の山下範久教授より教養教育やリベラルアーツについてスピーチがなされた。後半は、本学の松原洋子副学長が司会となり、4人でのディスカッションを行った。
本学の教養教育
シンポジウムのテーマである「自由に生きるための知性とはなにか?」は本学の教養教育を考えるうえで重要な問いである。企画に関わった教養教育センター事務局の牧野容子さんは「本学では総合大学の強みを生かし、すべての学部が教養科目を提供し、学生の皆さんも教養科目を必ず履修する。教養教育がこれからどうあってほしいか、学内で考えるきっかけにしてほしかった」と開催への思いを振り返った。また同事務局の川﨑那恵さんは「何かの目的のために学ぶという考え方を解きほぐし、好奇心のままに、学びの可能性を広げてほしい。教養科目での学びは他者と出会い対話し、自らの専門を相対化する機会になるはず」と語った。2020年度より、本学の教養科目では受講生が各学部から集まり、学部を越えた交流がより促進されるような改革が始まっている。
シンポジウムの様子がYouTubeにて公開
なお、シンポジウムの様子は近日、本学のYouTube「Ritsumeikan Channel」で公開される予定だ。詳しい日程については教養教育センターの公式Twitter・HPにて告知される。さらに、動画には障害の有無に関わらず、どんな方も視聴できるように字幕がつけられている。牧野さんは公開について「大学の学びにアクセスしにくい人もいる。大学の知をもっとオープンにしていきたい」と語った。
筆者自身、シンポジウムに参加し、普段お話を聞く機会のない方々の経験と知識に触れた。そして大学の学びは正解を求めること、評価を受けることがすべてではないことに気が付いた。シンポジウムの配信も新たな知と人との出会いのきっかけとなるだろう。(川村)