本紙は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、立命館大学生約32,000人を対象とする学生生活の実態をはかる調査を実施した。調査項目は①学習環境②生活③課外自主活動④経済状況。調査は6月15日から6月30日にかけてインターネット上で行い、有効回答数は1,115件、全学生数に占める回答者の割合は3.46%であった。なお、調査票は選択式問題と、一部自由記述欄が設けられた。
①学習環境
「最も好ましいと考える授業形態」について尋ねたところ、54.2%の学生が「対面授業」と回答した。「Web授業に限定した最も好ましい授業形態」については、「オンデマンド型授業」が62.8%、「ライブ型授業」が21.2%、「資料が配布されるだけの授業」が16.1%となった。
「総合的に見て、現在のWeb授業に満足していますか」の問いは、「満足している・どちらかといえば満足している」が49.6%、「満足していない・どちらかといえば満足していない」が50.4%と結果が分かれた。キャンパスごとの統計では、びわこ・くさつキャンパス(BKC)に所属する学部の学生はやや「満足していない」傾向が強く、大阪いばらきキャンパス(OIC)に所属する学部の学生はやや「満足している」傾向が強いことがわかった。
「秋学期もWeb授業が継続されるとなれば賛成ですか、反対ですか」の問いでは、「賛成・どちらかといえば賛成」が40.1%、「反対・どちらかといえば反対」が59.9%と、反対派が過半数を占める結果となった。学年別のデータからは、低回生ほどWeb授業継続に反対である傾向が強いことがわかった。
「Web授業を受ける環境について問題を抱えていること」を複数回答可で尋ねたところ、「レジュメなどの印刷に関する問題」を挙げた学生が全体の46.2%と最多、次に「教員とのコミュニケーションに関する問題」が42.2%、「スケジュール管理に関する問題」が39.7%と並んだ。
自由記述では、「課題が多すぎる」という回答が最も多く、評価方法の不明確さと単位取得に関する不安の声も多く見られた。「教員とのコミュニケーションに関する問題」では特に「先生の顔が見れない気持ち悪さ」や「担当教員の連絡先がわからず授業が一方通行である」といったものが挙げられた。また、学部の施設や機材が使用できないことや、長時間ディスプレイを見続けることへの問題を挙げた学生も多数存在した。
一方で、批判的な意見のみならず、Web授業について「動画なので復習が容易になった」「時間の調整が容易になり、就職活動と授業の両立ができた」「通学時間と通学費が節約された」といった肯定的な声も寄せられた。
②生活
「自粛期間に入って、食生活は変化しましたか」という問いは「好転した」が18.5%、「悪化した」が29.3%、「特に変化はない」が52.2%となった。自粛期間の体調については「好転した」が10.7%、「悪化した」が22.1%、「特に変化はない」が67.3%だった。
「現在、昼夜逆転現象が起きているか」については「起きている・やや起きている」が64.4%、「全く起きていない」が35.6%と、多くの学生に昼夜逆転現象が生じていることが明らかになった。
「自粛期間に入って、気分が落ち込むことは増えましたか」という問いに対しては「とても増えた・やや増えた」が52.1%、「あまり増えていない・全く増えていない」が47.9%となり、2人に1人が精神的なダメージを受けやすくなっていることが明らかになった。
その他、生活に関する自由記述では「母国から日本に渡航できていない」「帰省したいがタイミングがわからない」といった居住地や移動に関する問題の声も見られた。
③課外自主活動
課外自主活動団体に所属している学生を対象に活動頻度について尋ねたところ、「活動頻度が例年より減った」と回答した学生は90%を超え(有効回答数571件:「わからない」と回答したものを除く)、今年の新入生の加入者数についても「例年より減った」と回答した学生が68%にのぼった(有効回答数360件 :「わからない」と回答したものを除く)。
現在の活動頻度や活動内容の満足度に関しては、「満足している・どちらかといえば満足している」が23.4%、「満足していない・どちらかといえば満足していない」が76.6%と、8割近くが課外自主活動の現状に不満を感じていることがわかった(有効回答数686件)。
自由記述では「練習不足などによる技術・体力の低下の問題」や「下級生の成長機会の損失および代替わりへの心配」といった声があがった。
(課外自主活動に関する問いの回答者の所属団体ジャンル内訳は、中央パート(17.8%)、スポーツ(36.7%)、ボランティア(8.7%)、文化・表現・研究(36.8%))
④経済状況
「自粛期間に入って、家庭の経済状況に変化はありましたか」という問いに対しては、4人に1人の学生が「悪化した」と回答した。
アルバイトに関する問題については「特に問題はない」が45.9%であったのに対し、「解雇されて困った」が2.3%、「シフトが完全になくなって困った」が16.3%、「シフトが削られて困った」が22.2%、「就労を望んでいるが雇用されずに困っている」が13.2%と半数以上の学生が何らかの問題に直面していたことが明らかになった。
自由記述では「生活が困窮しているが、大学や国からの支援の基準を満たさず受給することが不可能なのでしんどい」「Web授業を受けるための設備を整える際に、大学からの給付金額である3万円を超えた出費があるため困窮している」という声も見られた。
回答者分布
学部ごとの回答者数は、法学部(112人)、文学部(176人)、産業社会学部(235人)、国際関係学部(40人)、映像学部(27人)、経済学部(40人)、理工学部(44人)、情報理工学部(45人)、生命科学部(23人)、薬学部(30人)、スポーツ健康科学部(117人)、食マネジメント学部(23人)、経営学部(83人)、政策科学部(68人)、総合心理学部(52人)(※グローバル教養学部は回答なし)であった。
学部別回答率は、上位から順に、スポーツ健康科学部(11.9%)、産業社会学部(6.7%)、総合心理学部(4.5%)、文学部(4.3%)、政策科学部(4.0%)、映像学部(4.0%)、薬学部(3.7%)、法学部(3.5%)、国際関係学部(2.9%)、経営学部(2.5%)、食マネジメント学部(2.5%)、情報理工学部(2.3%)、生命科学部(1.8%)、経済学部(1.2%)、理工学部(1.1%)であった。
回答者の学年比率については、1回生(31.3%)、2回生(23.5%)、3回生(29.1%)、4回生(14.8%)、5回生(1.2%)で、男女比は男性(50.5%)、女性(47.2%)、無回答(2.3%)であった。
調査名|コロナ禍における学生生活実態調査
実施|立命館大学新聞社(文責:堀ノ内杏彩)
目的|新型コロナウイルスの感染拡大を受けた立命館大学生の、学生生活の改善に向けた実態の把握
項目|①学習環境②生活全般③課外自主活動④経済状況
設問数|21問(自由記述を含む)
回答期間|2020年月6月15日(月)~6月30日(火)16日間
実施方法|Googleフォームを用いたインターネット調査(周知はURLをSNS等で共有)
対象|立命館大学 全学部生(32,243人)
有効回答数|1,115件(学生証番号上6桁が所属学部・学年と一致しないものを無効回答とした)