7月5日から8日にかけ、西日本の広い範囲で記録的な大雨。気象庁により「平成30年7月豪雨」と命名され、京都府をはじめとする計11府県に対して大雨特別警報が発令。7月10日17時時点で死者は146人を超えるなど、歴史的な大災害となった。
この西日本豪雨の際、大学の休講基準の適用は二転三転し学生や教職員を混乱させた。大学の対応にSNS上で異を唱え、休講基準についての提言書を作成している立命館大学法学部の木村和成教授に7月9日、話を聞いた。
(聞き手:鶴、石井)
学生や教職員を混乱させた一番の原因は休講の判断基準のぶれだった。
7月5日は大雨による災害の危険から特例的に全キャンパスで5、6限を休講と決めた。天候が悪化している中で6日の授業の有無についても、再び特例判断を下すと思われたが、大学は6日の授業を行うかの判断について通常の規定を適用した。しかも規定は台風をベースにしていて大雨災害は想定していない。この通常規定を適用して6日は授業を行ったが、同日昼ごろ、衣笠キャンパスの位置する学区への避難指示の発令に伴って、特例的な判断を再び行い同キャンパスを3限以降休講とした。つまり「特例判断→通常判断→特例判断」と判断基準が変わったのである。
「特例判断」についても誰が判断を下したのかがはっきりと学内で共有されていない。司令系統が我々(教員)にも分かっていないのに、学生が分かるはずがない。これは危機管理以前の問題である。また緊急対応をする部署も本学には存在しないため、すべて教学部の管轄になっている。早急に緊急対応部署を作るべきだ。
関西は阪神淡路大震災以後、大きな災害に見舞われてこなかった。この教訓があるにしても、時代状況は20年で大きく変わった。本学の対応には想定しなければならないことが想定できていないと言わざるをえない。インターネットの発達で即時性が高まっている時代に、もっとネットを有効活用するべきではないかと思う。
私(木村教授)が呼びかけて、ほぼ半日で50件を超える大学対応への意見が集まった。今回の大学の対応に無関心な人はいても、対応が正しかったと考えている人はいないだろう。
集まった意見を休講基準見直しの提言にまとめて、7月中には教授会などの会議体にのせたい。
木村教授の提案する休講基準改正案(現行案)
【論点1:台風以外の災害の考慮】
台風以外の災害の考慮については、さまざま災害を列挙して想定することは、想定外の災害が発生しうることも考慮すると、必ずしも現実的ではないため「休講とする場合」に第3項を新設し、学長判断による休講を可能する。
【論点2:休講判断時刻の再検討】
休講判断時刻の再検討については、現行6:30を30分繰り上げて6:00とし、遠方からの通学・通勤者に配慮することを提案したい。これは、休講判断時刻から授業開始までの時刻を3時間確保することにより、遠方からの通学・通勤者が不測の不利益を被る可能性をできるだけ小さくするためである。なお「3時間確保」の観点から、現行12:00の判断時刻については、廃止とする。
【論点3:公共交通期間の運行状況の考慮】
公共交通期間の運行状況の考慮については、衣笠キャンパスの休講基準である、現行の「京都市内乗り入れの4交通機関のうち3交通機関以上が不通の場合」を「2交通機関以上が不通の場合」とする。またこのうち、JR線の判断基準路線の東端を草津ではなく、彦根とする。