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海神DIGITAL「おむすびころりんのヒーロー」

立命館大学新聞のコラム欄「海神(わだつみ)」。記者が日々の思いを語ります。

スマホの写真を整理すると、10分もある動画がでてきた。「おむすびころりん」の劇をした小学1年生の時の音楽会だ。おじいさん役が2人、残りは全員ねずみ役。手作り感満載のお面をつけている。「おむすびころころころりんしゃんっ」という噛み合わない歌声の中、舞台袖から出てきたおじいさん役の腰を曲げた小さな女の子は600人近くいる生徒やその保護者の前で堂々と演技をし、歌い上げた。たった7歳、ものすごい度胸だ。

授業ではよく手を挙げ発言をし、誰にでも優しい彼女は私の憧れでヒーローみたいだった。ある時班が一緒になり急に仲良くなると、あのおじいさんをやり遂げたとは思えないほどふわふわとしていてどこか抜けている姿に拍子抜けした。一緒にいるといつも楽しくておもしろくて、授業中もくだらないおしゃべりを止められず先生に怒られたこともある。クラスは違えど中学も高校も同じで、その存在に何度励まされ助けられたかわからない。

私の青春は彼女なしでは語れないなと、ねずみたちがぞろぞろとステージから退場するのを見ながら思った。大学生活や就職活動の中で自分をよく見せようと飾り立てることにうんざりする日々。彼女との思い出は素の自分に引き戻してくれるようだ。今は別々の大学に通っている。早く会って一緒に飲んで語りたい。これまでもこれからも彼女は私のヒーローだ。なんて言ったら笑い転げるかな。

(西澤)

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